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【RWC2023出場国紹介:アルゼンチン】日本代表の前に立ちはだかるロス・プーマス。 大黒柱は三重ホンダヒートのパブロ・マテーラ
ラグビーW杯2023出場国紹介 by 村上 晃一パブロ・マテーラ
日本代表と同じプールDで決勝トーナメントを目指すライバルだ。現在、チームを率いるのは、RWC2015、2019でオーストラリア代表を率いたヘッドコーチで、NECグリーンロケッツ東葛のディレクター・オブ・ラグビーも務めたマイケル・チェイカ(56歳)。日本選手の特性はよく理解している。大黒柱のパブロ・マテーラ(30歳)は世界トップレベルのFW第三列で、昨季は日本の三重ホンダヒートでプレーし、攻守にタフなプレーでチームを引っ張った。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
アルゼンチン代表は、ラグビーワールドカップ(RWC)には、第1回大会から連続出場を続け、1999年大会で初めて決勝トーナメント(準々決勝)に進出した。強力スクラムと、大型選手も身体を折りたたんで低く入るロータックルを武器に、スピードランナー揃いのバックスが縦横無尽に走り回った。16年前のRWCフランス大会では開幕戦でホスト国のフランスを倒し、その勢いでベスト4に進出。3位決定戦でもフランス代表を破って史上最高位の3位となった。アルゼンチンが真の意味で世界に強豪国として認められた大会だった。2011年大会ベスト8、2015年大会ベスト4、2019年日本大会はプール戦で敗退したが、2023年7月24日現在の世界ランキングは7位(日本代表は12位)と安定した力をつけている。
アルゼンチンと言えばサッカー大国だが、同じように1800年代後期からラグビーもプレーされていた。アルゼンチン協会の創立は1899年。早くからイギリス、南アフリカ、フランスなどと交流してきた。愛称が「ロス・プーマス」となったのは1965年のアルゼンチン代表の南アフリカ遠征からとされている。現地の記者に胸のエンブレムの動物の名前を問われ、「ジャガレット」だと答えたが、聞きなれない名だったため、これはピューマにちがいないという推測で名付けられたという。実際には胸のエンブレムの動物はジャガーである。
同国のラグビーの歴史は長いが厳格なアマチュアリズムを守り、海外でプレーする選手を国代表に選ばないなど厳しい規定で知られていた。そのために強化が遅れたのは日本と同じだった。しかし、アルゼンチン代表は世界的にプロが認められた1995年以降は急速に力をつけ、2012年から南アフリカ、ニュージーランド、オーストラリアとの選手権「ザ・ラグビーチャンピオンシップ(TRC)」に参加。さらに力を伸ばした。プレースタイルはスクラムに偏ることなく進化し、総合力を高め、組織的な動きでディフェンスを崩すようになっている。昨年8月、TRCではオーストラリアに48-17、ニュージーランドにも25-18で勝っている。
パブロ・マテーラ以外にも世界的スター選手は多く、RWC2019以降に代表に定着して、チームのリーダーとなったフリアン・モントージャ(29歳)は機動力あるHOで、イングランドの名門レスター・タイガースでも中心選手だ。スタッド・フランセでプレーするLO/FLマルコス・クレメール(25歳)、クレルモン・オーヴェルニュでプレーするLOトマス・ラバニーニなど、フランスでプレーする選手も多い。RWC本大会でも力を発揮するだろう。SOサンティアゴ・カレーラス(25歳)は、2019年に代表入り後、経験を積んで安定感が出てきた。現在はイングランドのグロスターでプレーする。スコットランドのエジンバラでプレーするFBエミリアノ・ボフェリ(28歳)は身長 193cm、体重 94kgでCTB、WTB、FBどこでもこなし、ロングプレースキッカーでもある。ハーフウェイライン付近からもPGを狙ってくる要注意選手だ。このほか、イングランド、フランス、イタリア、ニュージーランドなど世界各地でプロとして活躍する選手が多く、個人能力は高い。今年のTRC第2節でもエディー・ジョーンズ率いるオーストラリアに逆転勝ちしている。プール戦最終戦でぶつかる日本代表にとっては高く分厚い壁へのチャレンジになる。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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