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ラグビー コラム 2023年7月20日

【RWC2023出場国紹介:オーストラリア】策士エディー・ジョーンズはどんな手を打つ? 過去2度の優勝国がダークホースに

ラグビーW杯2023出場国紹介 by 村上 晃一
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エディー・ジョーンズ

昨年12月、イングランド代表ヘッドコーチを解任されたエディー・ジョーンズが今年の1月にオーストラリア代表ヘッドコーチに復帰した。2003年のラグビーワールドカップ(RWC)で準優勝して以降、南アフリカ(RWC2007)、日本(RWC2015)、イングランド(RWC2019)という国代表を指導してきたが(※南アはテクニカルアドバイザー)、20年ぶりに母国を率いてRWCに臨むことになったわけだ。オーストラリア代表は2023年7月17日の世界ランキングは8位だが、「策士」ジョーンズヘッドコーチがあっさり敗退することは考えににくい。ダークホースとして優勝候補チームを脅かす存在になるだろう。

6月25日、オーストラリア協会はザ・ラグビーチャンピオンシップ(南半球4か国対抗=TRC)に向けた代表メンバー34名を発表。同国代表史上初めて共同主将制を採用し、日本のトヨタヴェルブリッツでプレーしたFLマイケル・フーパー(31歳)、FW第一列のPRジェームス・スリッパー(34歳)のベテラン2人を指名した。34名中8名のノンキャップ(国代表同士のテストマッチ未経験者)がおり、成長著しい若手を起用することでチーム力が一気に引き上げられる可能性がある。2027年のRWCオーストラリア大会での優勝も視野に入れたメンバーと言えるだろう。

7月8日に開幕したTRC初戦は南アフリカ代表に完敗(12-43)。15日のアルゼンチン代表戦は終了間際の逆転負け(31-34)。ジョーンズHCは試合中コーチ席で無線のヘッドセットを叩きつけた。この連敗は指揮官の闘志に火をつけたかもしれない。この2試合には、日本のリーグワンに所属する快足WTBマリカ・コロインベテ(埼玉ワイルドナイツ)、変幻自在のプレーメイカーであるSOクエイド・クーパー(花園近鉄ライナーズ)、フィジカルモンスターのCTBサム・ケレビ(東京サンゴリアス→浦安D-Rocks)が出場している。

アルゼンチン代表戦では期待のWTBマーク・ナワンガニタワシ(22歳)が95mの独走トライを決めるなど期待に応えた一方で、BKラインの突破役であるアウトサイドCTBレン・イキタウが肩を痛め、RWCにぎりぎり間に合うかどうかという状況になった。イキタウに代わるCTBが誰になるかも気になるところだ。

ラグビーワールドカップ2019 準々決勝 イングランドvsオーストラリア

小型カンガルーにちなんで「ワラビーズ」の愛称で親しまれるオーストラリア代表は、1900年前後からタスマン海を挟む隣国であるニュージーランド代表と切磋琢磨してきた。昨年まで175試合して45勝と大きく負け越しているが、RWCでは1991年の準決勝、2003年の準決勝でニュージーランドを破り、1991年、1999年で優勝。選手同士の間隔を極端に狭くしたショートライン戦法や、鉄壁のディフェンスシステムを創り上げるなど革新的なスタイルで頂点に立った。しかし、2015年のRWCで準優勝した以降はテストマッチの戦績は振るわず、2022年は5勝9敗。デイブ・レニーHCは解任され、ジョーンズHCが引き継ぐことになった。

既述の共同キャプテン、フーパー、スリッパ―、リーグワンでプレーする3人に加え、身長203cm、体重145kgの巨漢LOウィル・スケルトン(31歳)、身長208cm、体重127kgの長身LOリッチー・アーノルド(33歳)、フィジー人の両親を持つNO8ロブ・バレティニ(24歳)ら、サイズも大きく才能豊かな選手が多くおり、多彩な攻撃が可能だ。このあとは、7月29日にニュージーランド代表と対戦。この試合はTRCと両国の定期戦ブレディースローカップを兼ねる。そして、ブレディースローカップ単独の試合として8月5日にもニュージーランド代表と戦い、8月28日のフランス代表戦を経てRWC本番を迎える。

プール戦の強敵はウェールズ代表(9月24日)だが、それまでにジョージア代表、フィジー代表を破り、上り調子で臨みたい。プールCの上位2チームは、準々決勝で日本代表がいるプールDと戦うことになっている。ジョーンズHC率いるオーストラリア代表と日本代表が対戦する可能性があるわけだ。ベスト8以上を目指す日本代表にとっても目の離せないチームである。

文:村上 晃一
村上晃一

村上 晃一

ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。

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