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【RWC2023出場国紹介:ウェールズ】名将ガットランドがヘッドコーチに復帰 台風の目となるか、レッドドラゴンズ
ラグビーW杯2023出場国紹介 by 村上 晃一
ホームユニオンと呼ばれる英4カ国の一角でラグビー界きっての伝統国だ。現在の世界ランキングは9位(2023年6月26日現在)。日本代表の1つ上だが、2019年のラグビーワールドカップ(RWC)でベスト4入りしたように、どのチームをも倒す実力を秘める。2022年12月、RWC2019まで12年間ヘッドコーチを務めたウォーレン・ガットランドが復帰し、低迷から抜け出し再び世界の頂点を狙っている。愛称は国旗に描かれた赤い竜から「レッドドラゴンズ」。
ラグビーワールドカップ2023 特集ページ
歴史をひもとけば世界を席巻した黄金時代が複数ある。初のテストマッチを1881年(対イングランド)。上流階級のスポーツとして発展したイングランドとは違い、ウェールズのラグビーは炭鉱・製鉄就労者を軸に発展し、屈強なFWとパスで華麗にボールをつなぐBKというスタイルで1900年代初頭に黄金時代を迎える。そして、日本のラグビー界にも大きな影響を与えたのは1969年から10年間の黄金期だ。1975年に来日し、ラグビー史上最高の選手といわれるSHガレス・エドワーズ、天才SOフィル・ベネット、世界最強FBのJPR・ウィリアムズらが変幻自在にパスをつないで日本のファンを魅了した。
RWCでは1987年の第1回大会で3位、以降2大会はプール戦で敗退。1999年から強化体制を立て直し、2大会連続でベスト8、2007年のフランス大会はプール戦で敗退したが、ニュージーランド人のウォーレン・ガットランドがヘッドコーチに就任すると、フィットネスを高め、愚直にボールを繋いで突進を続ける情熱的なスタイルでチーム力を上げ、シックスネーションズで4度優勝、RWCも2011年からは4位、ベスト8、4位と安定した成績を残した。2019年大会後、ガットランドは勇退し、いったんニュージーランドに帰国していたが、低迷するウェールズの窮地に再び戻ってきた。2023年のシックスネーションズではイタリアに勝利しただけで5位となったが、アイルランド、フランスの2強を苦しめている。
2023年のRWCを前に世界最多キャップ170(ウェールズ代表158キャップ、ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ12キャップ)を誇るLOアラン=ウィン・ジョーンズ(37歳)が引退を表明。ウェールズ92キャップのFLジャスティン・ティプリック(33歳)も同じく現役生活に終止符を打った。また、ベテランHOケン・オーウェンズほか数名の怪我人も出ている。攻撃を司るSOは2019年大会も活躍した代表107キャップのダン・ビガー(33歳)がいるが、2019年大会は怪我で出場できなかったSOガレス・アンスコム(32歳)にもチャンスが巡ってきそうだ。U20ニュージーランド代表の経験があり、クリエイティブなプレーのできる選手だ。2019年は怪我だった選手といえば2011年に代表デビューしたNO8タウルペ・ファレタウ(32歳)がいる。100キャップを超え、力強いボールキャリアーで前に出る。
ジョージ・ノース
BKラインでは、113キャップのCTBジョージ・ノース(31歳)に注目したい。身長193cm、体重109kgのサイズでパワフルに前に出る。ベテランでもう一人注目と言えば、日本のリーグワン王者クボタスピアーズ船橋・東京ベイで来季よりプレーするリーアム・ウィリアムズだ。ウィリアムズは身長188cm、体重85kgのサイズでランニングスキルが高く、2015年、2019年と2度のW杯に出場。84キャップを得ている。怪我が多く、ベストコンディションでフランス大会を迎えられるかどうか。若い選手ではWTB、FBどちらでもプレーするスピードスターのルイス・リース=ザミット(22歳)、身長196cm、体重110kgのパワフルなCTBメイソン・グレイビー(21歳)らがいる。名将ガットランドがベテランと若手をいかに融合させるか楽しみだ。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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