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【ハイライト動画あり】連敗を止めたのは東京サントリーサンゴリアス、花園近鉄ライナーズは12連敗。ジャパンラグビー リーグワン第12節
ラグビーレポート by 斉藤 健仁ハットトリックを達成したHO堀越。
「NTTジャパンラグビー リーグワン」のディビジョン1は交流戦が終了。第12節からカンファレンス内の対戦が再開し、3月17日(金)夜はカンファレンスB同士の一戦が行われた。東京都・秩父宮ラグビー場で、ホストの4位につける東京サントリーサンゴリアスが最下位の花園近鉄ライナーズを迎えた。
前節、埼玉パナソニックワイルドナイツに前半17-3とリードしたものの、後半に入って逆転を許し、29-41で敗れ、今季初の2連敗となったサンゴリアス。田中澄憲監督は、前節からFW(フォワード)4名、BK(バックス)3名の計7名を替えてきた。
HO(フッカー)は中村駿太がベンチに下がり、共同キャプテンの堀越康介が先発。FL(フランカー)は日本代表の下川甲嗣がメンバー外となり、飯野晃司と新人の山本凱(慶應義塾大学出身)が先発、NO8(ナンバーエイト)は引き続き日本代表のテビタ・タタフが務めた。
BKは、日本代表で共同キャプテンのSH(スクラムハーフ)齋藤直人が先発に復帰し、元オールブラックスのSO(スタンドオフ)アーロン・クルーデンとハーフ団を組んだ。CTB(センター)日本代表の中村亮土と、尾崎泰雅が今季初めて先発しコンビを組んだ。WTB(ウイング)には、現在16トライとランキングトップに立つWTB(ウイング)尾崎晟也、日本代表のFB(フルバックは)松島幸太朗が引き続き先発を務めた。
リザーブにはPR森川由起乙が第3節以来のメンバー復帰、今季初のメンバー入りとなったSH大越元気、出場すればリーグワンデビューとなる万能BKの20歳・トニー・アロフィポらが名を連ねた。
タックルで奮闘するライナーズ
一方、開幕から未だ白星なしの11連敗中と苦しい状況が続くライナーズ。水間良武HC(ヘッドコーチ)は、ケガの影響から前節からFW6名、BK4名の計10名の先発を変えた。
FWのフロントローは全て入れ替え、前節アーリーエントリー制度でデビューを果たした東海大学4年のPR井上優士と、ルーキーのPRラタ・タンギマナ(日本文理大学出身)の2人に、HOもアーリーエントリー制度でデビューしたばかりの帝京大学4年の福井翔で構成。他には元スコットランド代表のLOベン・トゥーリス、FLキャプテンの野中翔平らが先発した。
ジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1
【ハイライト動画】第12節 東京サンゴリアス vs. 花園近鉄ライナーズ
BKは、ウィル・ゲニアが今季初めてメンバーから外れ、中村友哉が初先発となり、SOジャクソン・ガーデンバショップとのハーフ団に組んだ。日本代表WTBシオサイア・フィフィタがメンバー外となり19歳のヴィンセント・セフォがリーグワンデビューとなった。
リザーブには新人のSH河村謙尚(早稲田大学出身)、アーリーエントリー制度を利用してすでにデビューを飾った青山学院大学4年のCTB金澤春樹と東洋大学4年のNO8梅村柊羽の2人もベンチに入るなど若い構成となった。
1月22日の第5節でも両者は対戦しており、51-10でビジターのサンゴリアスが勝利している。連敗脱出を目指す両チームの一戦は、わずかに雨が降る中、3208人の観客を集め、午後7:00に東京都・秩父宮ラグビー場でキックオフされた。
序盤、ビジターのライナーズが積極的にボールを展開するが、ゴールラインを割ることができなかった。一方、「シンプルなことを徹底する」(堀越主将)と臨んだアタッキングラグビーを信条とするサンゴリアスは、前半7分、自陣からのラインアウトから攻撃を展開しCTB尾崎泰雅、SOクルーデン、SH齋藤とつないで、最後はWTB尾崎晟也がトライを挙げて7点を先制する。
このトライ前にライナーズHO福井が危険なタックルでシンビンとなり、サンゴリアスは数的有利となる。16分、ラインアウトのクイックスローからボールを継続し、PR垣永真之介がラインブレイクしオフロードパス。LO小林航がリーグ戦初トライを挙げて14-0とリードを広げる。
モールからトライを挙げるHO堀越
前半20分、15人に戻ったライナーズは、ラインアウトを起点に、最後はWTBセフォがトライを奪い、5点を返す。しかし、サンゴリアスもすぐに反撃し、28分、FB松島が抜け出して、CTB中村につないでトライ。さらに37分、ゴール前のラインアウトからモールを押し込みHO堀越がトライを挙げて28-5として前半を折り返す。
ここでライナーズは再び、トライ前にハイタックルをしてしまい、WTBセフォがシンビンとなってしまった。
後半、サンゴリアスは攻撃の手を緩めず、数的有利だった4分、相手陣ゴール前ラインアウトから展開し、最後はHO堀越が持ち出して2つ目のトライ(35-5)。
8分には再びモールを20mほど押し込んで、HO堀越がハットトリックとなる3つ目のトライを挙げて40-5として勝負を決めた。その後、12分、ライナーズLOトゥーリスにトライを許す。
好調をキープしているFB松島
だが、サンゴリアスは14分にはWTB仁熊秀斗、23分には初出場のCTBトニー・アロフィポが初トライ。35分にはWTB尾崎晟也が今季18個目のトライ。37分にはこの試合好調だったFB松島が高校の後輩である途中出場HO中村のパスを受けてトライを挙げて64-12でノーサイドを迎えた。
連敗を脱出し、10トライを重ねて勝ち点5を得たサンゴリアスの田中監督は「連敗後のゲームで、大事な試合と位置づけていたので、いい勝ち方ができた。サンゴリアスらしいトライも取れた」と安堵の表情を見せた。
初出場、初トライのCTBアロフィポ
さらに「今日デビューしたアロフィポや、今季初出場の大越といったメンバーがモメンタムを引き出し、いいパフォーマンスをしてくれた。誰が出てもこういったラグビーができるのがサンゴリアスの強み」と選手たちを称えた。
ハットトリックを達成し、POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にも選出された共同キャプテンのHO堀越は「(POMは)たまたまだが、FWのがんばりのおかげなのでうれしい。ハットトリックは(社会人となって)初。先週の負けから自信を取り戻す試合で、スタンダートを高くできた。細かいところ、まだまだ上手くなるところはあるが、課題をクリアして、またいい準備をしたい」と次戦を見据えた。
12連敗となってしまったライナーズの水間HCは「規律が悪く、シンビンも出た。スイッチが切れていた。準備もできてないし、強みも出していない。まだマインドセットが足りない。変わらないといけない。次に進んでいくために選手たちに考えてもらうしかない」と肩を落とした。
FL野中主将も「厳しい現状をつきつけられている中で、本気で変わっていこう、変えていこうとしている人間が、チームで何人いるかがこれからの行方を決める。自分もゼロから考え直して向き合いたい」と話した。
リーグ戦は残り4試合となった。勝ち点を42に伸ばし、プレーオフ進出圏内をキープした東京サントリーサンゴリアスは、3月26日(日)の次節はビジターで、千葉県・柏の葉公園総合競技場でNECグリーンロケッツ東葛と対戦する。
次節こそ白星を挙げたい花園近鉄ライナーズは、3月25日(土)、大分県・レゾナックドーム大分で好調の横浜キヤノンイーグルスと相対する。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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