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ピックアップ コラム 2021年8月17日

ホークアイによる「テニスチャレンジシステム」は、プロテニスをより良いものへ導いたか!?

スポーツレポート by 神 仁司
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事態は試合翌日に大きく動いた。大会側が、セリーナに電話で謝罪。ミスジャッジをしたアルベス主審を、USオープン期間中はずすことを決定した。

ここで焦点となったのが、ビデオリプレーをジャッジに採用すべきかどうかだった。すでに当時からテレビ中継でおなじみのコンピューターグラフィックによる再現画像を使用すべきという案も持ち上がったが、「ホークアイ」などの3DCG再現画像には、100%信頼を置けないという意見もあったため、この時大会側はまだ消極的で、将来的にリプレーを採用する可能性があると示唆するに留まった。

また、センターコートだけにリプレーを採用して、他のコートに無いのでは、スポーツにおける公平性が損なわれてしまう。仮に、全コートに採用するとなると高額な設備投資になる。さらに、大きな大会だけで採用して、他のグレードの低いツアー大会で使われないのも問題だった。

選手からはおおむね好評だったが、賛否両論あり、システムの信頼性に疑問を抱く選手もいた。当時、ロジャー・フェデラー(スイス)は、「もう少し時間をかけて、見守る必要がある」と慎重なコメントを残したし、マラト・サフィン(ロシア)は、「改良の余地があるんじゃないかな。コートに残ったボールの跡と、ホークアイで描かれた後が、明らかに違う。100%正確ではないと思う」と疑念を持ったのだった。

最近では、すべてのマッチコートでチャレンジができるようになった大会もあるが、現在もレッドクレー(赤土)のコートで行われる大会では、基本的にチャレンジが採用されていない。ただ、レッドクレーで行われるマドリード大会では、2021年大会でセンターコートだけ初めてチャレンジが採用された。

テニスのスピード化が著しく、特に、男子選手のサーブは時速210km台や220km台を記録することがあり、人間の目による判定も限界がささやかれている。果たして、「テニスチャレンジシステム」は、プロテニスをより良いものへ導いたのかどうか、J SPORTSで放映される番組「Subject to Review」を通してあなたの目で確かめてほしい。

文・写真/神 仁司

神 仁司

1969年2月15日生まれ。東京都出身。明治大学商学部卒業。キヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン)勤務の後、テニス専門誌の記者を経てフリーランスに。テニスの4大メジャーであるグランドスラムをはじめ、数々のテニス国際大会を取材している。錦織圭や伊達公子や松岡修造ら、多数のテニス選手へのインタビュー取材も行っている。切れ味鋭い記事を執筆すると同時に、写真も撮影する。ラジオでは、スポーツコメンテーターも務める。国際テニスの殿堂の審査員でもある。著書に、「錦織圭 15-0」(実業之日本社)や「STEP~森田あゆみ、トップへの階段~」(出版芸術社)がある。ITWA国際テニスライター協会のメンバー。

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