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モーター スポーツ コラム 2025年10月9日

MissionH24

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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WEC富士で「MissionH24」の記者会見が行われた

あれは、2018年1月の東京オートサロン─ 。

トヨタ自動車のブースエリアは、黒山の人だかり。日本人ジャーナリストだけではなくて、外国人ジャーナリストも居た。その目の前でアンベールされたのが「GRスーパースポーツコンセプト」だった。そしてその年、ル・マン24時間レースの会場でヨーロッパ初公開。

このクルマは、次世代の耐久レースに向けて、それまでトヨタが耐久レースに参戦してきたTS050 HYBRIDのハードウェアを内包した市販車かつ、レーシングカーだった。レーシングカーは、世界耐久選手権(WEC)への参戦を前提としていた。ル・マン24時間レースを主催するフランス西部自動車クラブ(ACO)と国際自動車連盟(FIA)によって新たに企画されていた耐久マシンのトップクラスである、ハイパーカーのベースとされる車両だった。その後市販車をベースとする規定は削除されて、トヨタはピュアレーシングカー規定に従い、いち早くマシンを造った。ハイパーカーの先駆も先駆であった。GRスーパースポーツコンセプト改め、GR010 HYBRIDは、勝ちまくった。

やがて、アメリカの耐久レースシリーズ(IMSA)とル・マン=ヨーロッパが手を組むこととなって接戦を生み出すために参加メーカー、チームのパフォーマンスの均衡を目的としたバランス・オブ・パフォーマンス(BoP)によってレース毎に各マシンの車重や出力が決められることになった。

その結果、トヨタは今年表彰台にすら立てない苦しいシーズンを過ごしている。先日の第6戦富士6時間レースを見てもその状況が明らかだ。

その富士でACOとH24projectの共同プロジェクト「MissionH24」 の記者会見が行われた。

それは、水素を用いて発電し、その電力で走るEV耐久マシンの開発にトヨタがコラボレーションするというもの。現在ACOは、このプロジェクトを推進しようと躍起になっているように見える。そして、トヨタがこのミッションに協力的であるところをアピール。また、水素は枯渇する化石燃料に頼らず、環境にも優しい。

トヨタはすでに車両の開発に着手しており、11月の末にはH24EVOがお披露目され、来年の2月には空力と冷却を両立するカウルを完成させ、風洞テストが行われる。その後2028年にシリーズ化され、2030年には世界耐久選手権シリーズのトップカテゴリーとして展開する目標を立てている。これが実現すれば、再びトヨタがMissionH24の先駆者(社)となる。そして、シリーズ化直後は勝ちまくる・・・のかな。

日本ではトヨタからスーパー耐久シリーズに水素を用いたエンジン車がすでに参戦し、MORIZOさんが自らドライバーとして、ステアリングを握っている。パドック裏の大掛かりな水素燃料のサポート体制を見ると、世界各地で開催されるWECでもそのインフラが整えられるのだろうかと心配になる。

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文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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