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最低重量が大きくプラスされたフェラーリ
この小欄でFIA 世界耐久選手権 (WEC)のバランス・オブ・パフォーマンス(BoP)について昨年の富士6時間レースの後に書いた。その時は、【現在のBoPというシステムが素晴らしい拮抗の状況を生み出している】とボクは書いている。だが、今年のそれは、ちょっと違うと思えるようになって来ている。2025年WEC第5戦ブラジル・サンパウロ、インテルラゴスのBoPと結果を見てその思いを強くした。
BoPは、開催される大会の直近3レースのデータを算出材料にして決められる。ただし、ル・マン24時間レースは除外。
ブラジル戦で注目されたのは、まずは、フェラーリに対して最低重量が大きくプラスされて参加チーム中最大のトヨタと同じ(1069kg)になったこと。今シーズンのフェラーリは第4戦まで全戦で優勝。開幕戦のカタールでは、サテライトチームを加えて表彰台を独占。第5戦前までの表彰台1位-3位=12のポディウムを8獲得している。圧倒的な速さ、強さなのがこのスタッツだけを見ても分かる。ライバルチームは、やっと第5戦でフェラーリに対し正しいBoPが適用されたと思ったことでしょう。番組のライブ放映中に現地のTOYOTA GAZOO RACINGのチーム代表であり、7号車のドライバーの小林可夢偉選手と会話することができた。その模様をご覧いただけた方も多かったことでしょう。
彼は「スタート前のグリッド、自分が最下位の18番手でフェラーリ51号車が、17番手。ここで何やっているのって?連中に言ったら。<ウエイトが重いってキツイなぁ!>って(笑)。われわれは、常にこれで苦しんでんだよ、って言っときました」と。フェラーリは、これまでの俊足を奪われてトップ10フィニッシュできたのはサテライトチームのみ。
BoPは、国際自動車連盟(FIA)とフランス西部自動車クラブ(ACO)がアルゴリズムを用いて各メーカーの直近10ベストタイムなどを基に算出する。そして、今年は特に各チームがワンセットのタイヤを2スティント、または、3スティント使うことを想定して設定し、レース展開の拮抗を作り出そうとしている。しかし、ブラジル戦では、最低車重が2kg減り(1040kg)、時速250キロに達するまでのパワーが15kW(約20馬力)プラスされたキャデラックの速さに、誰もが驚き、彼らはWEC初優勝&1-2フィニッシュを飾った。また、参加車中で最も車重が軽いプジョー(1030Kg)や車重が2kg減ってパワーが7kW(約5馬力)増したポルシェ(1053kg)がトップ集団を作るという展開が見られた。また、今シーズンから参戦のアストンマーチン(1030kg)は、11kW (約10馬力)増されて、今シーズン最高のレースを展開した。軽くて、パワーがプラスされているマシンが絶対に有利になる。大会毎のBoPが発表されるとレース展開&結果までが見えてしまうというのは、如何なものでしょう。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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