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順位を決めるのは、決勝では決められたゴールラインに到着/通過した順序。予選ではコースを一周して記録された時間=ラップタイム。これは、モータースポーツの話。球技では、得点。投擲競技では物体を投げて到達した距離。跳躍競技は、飛んだ距離、高さ。
第109回日本陸上競技選手権大会 兼 東京2025世界陸上競技選手権大会 日本代表選手選考競技会が6日(日)まで行われていましたね。陸上競技の短距離走は、モータースポーツの決勝と同じく到着順位で予選も決勝も順位が決まる。ボクが注目したのは、やはり男子100m。今年の大会は、荒れた展開だった。これまで世界陸上で決勝に二大会連続出場しているサニブラウン・アブデルハキーム選手が故障で期待通りの走りができず。そして、優勝候補とされていた東洋大学の柳田大輝選手が予選でフライングしてしまって失格。現在フライングは一発で失格というとても厳しい規則になっている。2010年から短距離走は、これが適応されているとのこと。以前は、2回目で失格だったと記憶している。一発失格は本当に厳しい。
優勝したのはベテラン桐生祥秀選手。久々の優勝。調べてみたら5年ぶり。彼が高校生時代に一躍注目を集めたのを思い出す。100m一筋、トップ選手として走ってきて、日本人として初の9秒台をマークした選手。今回の記録は10秒12だったので世界選手権出場参加標準記録10秒00をクリアしていないので。参加できるかは、今後の記録次第。
走る、自分の体ひとつで。道具は、自分の肉体。スパイクは記録を左右する一部の道具だけれど、これが選手間の格差を左右するものではなさそう。体ひとつだからモータースポーツとは大違い。スタートの瞬間から自分の体、全ての筋肉、神経をコントロールしてゴールラインへ疾走。僅か10秒の間にいちいち脳が判断して指示を出しているのではなくて、体が感じたことに対して反射で体を動かす。これに関してはモータースポーツと共通している。かつてプロドライバーを指導していた大学の体育学部教授にモータースポーツ選手に必要なトレーニングを取材している中で、走行中にマシンをコントロールしているドライバーは、マシンの挙動を筋肉や皮膚をセンサーとして感じ取り、外部からの刺激に対して脳を介さずに脊髄など神経系が直接反応して行動していると教えていただいた。優秀なドライバーは、その精度が高く、肉体的な能力と相まってパフォーマンスが高いとのこと。桐生選手など陸上のアスリートもそのようなことが体内で起きているのでしょうね。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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