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ブレガ3連勝も次戦はラズガットリオグルの得意コース! | FIM スーパーバイク世界選手権 2025 第5戦 モスト プレビュー
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシFIM スーパーバイク世界選手権 2025 第5戦 モスト
日欧のオートバイメーカーが鎬を削る市販バイクの世界選手権「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」は数多くのヨーロッパのサーキット転戦するシリーズです(今年は1戦のみ豪州で開催)。そのコースはMotoGPを頂点とするロードレース世界選手権(グランプリ)を開催するコースから、前戦・クレモナ(イタリア)のようにグランプリレースが開催されてこなかったコースまで様々。第5戦はモストサーキット(チェコ)で開催となりますが、チェコといえばブルノサーキットがグランプリ開催地として有名で、モストは近年WSBKの開催でようやくその名が知られるようになったコースです。今回は2025年5月16日(金)〜18日(日)にモスト(チェコ)で開催される第5戦のレースプレビューをお届けしましょう。
さて、前戦のクレモナ(イタリア)はニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)が開幕戦フィリップアイランド(豪州)に次ぐ3連勝を飾りました。ドゥカティのお膝元であり、ブレガにとってもホームレースとあって地元のパワーを背にパーフェクトな週末を過ごすことになりましたね。2位は3レースともにトプラク・ラズガットリオグル(BMW)。そして、3位は3レースともにアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)という3レースともに表彰台のメンツもポジションも同じという結果になりました。
表彰台の面々が同じというレースは近年も数多くありましたが、ポジションまで同じレースというのは実は珍しく、2019年のブリーラム(タイ)以来6年ぶりのことです。クレモナはまだ開催2年目のコースでトプラク・ラズガットリオグル(BMW)は昨年クレモナのレースを欠場していたので初出走。そんな中、風はニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)に吹いている感はありましたが、彼は勝つべきレースで全て勝ちました。去年欠場して未経験のコースでラズガットリオグルが3連続2位を取ったのも凄いことですが。
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【第4戦 ハイライト】FIM スーパーバイク世界選手権 2025 クレモナ(イタリア) (5月3日)
この3連勝でニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)=198点、ランキング2位のトプラク・ラズガットリオグル(BMW)=164点となり、両者のポイント差は34点に拡大しました。まだシーズンの1/3が終わったばかりとはいえ、ブレガは大量リードを築くことに成功したわけです。
ただ、次のモスト(チェコ)はトプラク・ラズガットリオグル(BMW)が大の得意とするコースです。2021年からWSBKの開催が始まったモストですが、ラズガットリオグルはヤマハ時代の2021年に2勝、2022年も2勝、2023年は1勝とポールポジション獲得、そしてBMWに移籍した昨年は3連勝のハットトリックを達成と合計8勝をマークしてきました。
一方のニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)はスーパースポーツ世界選手権時代に優勝経験はありましたが、昨年はラズガットリオグルの後塵を拝する形になりました。そんな昨年負けてしまったコースでブレガが前回3連勝の勢いを維持できるのかという部分が今回のポイントになってきます。
チャンピオン争いがこの2人の一騎打ちになってしまわないように、ランキング3位のアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)=125点、ランキング4位のアンドレア・ロカテリ(ヤマハ)=118点にとっては形勢逆転を狙っていきたいレースとなります。
そんな中、ドゥカティ勢はずっと好調を維持。ワークスチームのブレガ、バウティスタに加えて、サテライトチームのライダーもランキング5位のダニロ・ペトルッチ(ドゥカティ)=108点を含め、上位争いに常に加わっていて、ランキング10位までの中で6人がドゥカティのライダーで締められているという事実がドゥカティ・パニガーレV4Rのポテンシャルの高さを如実に物語っています。
一方、第3戦アッセンで勝利し、復活の兆しが見えたヤマハ勢はクレモナでは失速。元王者のジョナサン・レイ(ヤマハ)もようやく復活しましたが1ポイントも獲得できずに終わりました。アンドレア・ロカテリ(ヤマハ)ですらスーパーポールレースの7位がウィークを通じてのベストリザルトとなる散々な週末を過ごしてしまうことになってしまったのです。
その反面、ホンダは調子を上げてきています。チャビ・ビエルゲ(ホンダ)がクレモナのレース1とスーパーポールレースで今季ベストタイトなる5位フィニッシュを達成。ランキングではトップ10に食い込む8位につけています。イケル・レクオナ(ホンダ)もレース2で6位フィニッシュを果たし、今季5度目のトップ10フィニッシュを成し遂げました。表彰台にはまだ遠いですが、開幕戦フィリップアイランドの不振を考えれば結果が安定してきています。
一方でカワサキワークスから体制変更した「ビモータ」はアッセンでトップ5でのフィニッシュがあったものの、クレモナではホンダに負けてしまう結果に。マニュファクチャラーズランキングではホンダの先行を許す形になっています。
ドゥカティvs BMWの構図が色濃くなっている今季のWSBKですが、シーズンの進行と共に気になってくるのが来季以降に向けた動きです。トプラク・ラズガットリオグル(BMW)のBMWとの契約は今年までとなっており、彼自身はMotoGPへの転向を希望しているとマネージャーのケナン・ソフォーグルは明らかにしています。ホンダでMotoGPへという噂もWSBKの公式サイトの記事で出てくるほどですし、BMWがラズガットリオグルに対してどんなオファーをするのかも今注目の的となっています。
MotoGPもWSBKもドゥカティが強く、ライダーなら誰でもドゥカティに乗りたい、関わりたい状況は変わっていません。おそらく数週の内に明らかになってくると考えられるラズガットリオグルの去就。それ次第で来季のストーブリーグが一気に動くと考えられているだけに、WSBKのライダーたちも今が自身のパフォーマンスを存分に見せつけていくべき時。それだけにラズガットリオグルが得意とするモストでは少なくとも彼とバトルする姿を見せてアピールしなくてはいけないでしょう。次のレースまで1ヶ月のインターバルがありますから、そういう意味でも今回のモストは色んな意味で今季の分け目となる闘いになるでしょう。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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