WRC世界ラリー選手権2025　第1戦ラリー・モンテカルロ　プレビュー ～タイヤチョイスが勝敗を分ける開幕戦～

2025シーズンよりハンコックがタイヤのシングル・サプライヤーとなった

ヌービル（ヒョンデ）のドライバーズチャンピオン、トヨタのマニュファクチャラーズチャンピオンで終わった昨年のシリーズ。2カ月強の僅かなインターバルを経て早くも今シーズンが開幕します。今年の変更点をまとめておきます。

1．ハイブリッドが無くなる。27年のホモロゲーション改訂までハイブリッド継続説がありましたがチーム側の協議で急遽廃止になりました。部品の在庫やサプライヤーとの契約上の問題があるようです。ハイブリッドの廃止に伴い同じ性能を確保するため車両の最低重量の調整や吸気リストリクターのサイズ調整が行われます。

2．タイヤサプライヤーの変更。4年間の仕事を終えてピレリはリタイヤ。韓国製ハンコックがシングル・サプライヤーとなります。新しいタイヤの良否はドライバーのコメントに注目しましょう。

3．Rd数の増加。昨年より1戦増えて全14戦となります。新規加入はサウジアラビア、南米パラグアイ、カナリア諸島。クロアチア、ポーランド、ラトビアは落ちました。ラリー・ジャパンは第13戦。順番に並べるとモンテカルロ、スウェーデン、ケニア、カナリア、ポルトガル、サルデニア・イタリア、ギリシャ、エストニア、フィンランド、パラグアイ、チリ、セントラル・ヨーロッパ、ジャパン、サウジアラビアとなります。

4．ポイント・システムの一部変更。サタデーポイントを廃止。サンデーポイントは最速7人ではなく5人に付与へと変更。パワーステージ・ポイントは継続。完全優勝の場合35ポイントとなる。

5．メーカーチームのドライバー編成。ヒョンデはヌービル、タナク、フォードから移籍したフルモーの3名。トヨタは1年ぶりにフル参戦帰となるロバンペラ、エバンス、勝田貴元とWRC2から昇格のパヤリ、そしてパートタイム参戦となるオジェの4－5台体制。フォードはミュンスターと新規加入のマカリアンの2台。WRC2ではオリバー・ソルベルグがシュコダからヤリスに車両変更。

6．チームマネジメントの変更。ヒョンデの鬼才エンジニアであるクリスチャン・ロリオが退社。トヨタはチーム代表の補佐としてユハ・カンクネンを副代表として招致、ラトバラの負担を軽減するとのこと。

さて、モンテカルロラリーは1911年に初回開催された最古のラリー競技です。フランスアルプスの南部のアルプ＝マリティームと呼ばれる地方を中心に行われ、近年ではギャップを拠点にモナコへゴールするイベントです。初日の木曜日は、モナコのカジノ前広場をセレモニアルスタートし、ナイトステージを3本しながらギャップへ向かいます。そして、最終日はギャップ発モナコの裏山にあるテクニカル・ステージを走りモナコフィニッシュとなります。
路面はターマックですが標高差が大きくドライ、アイス、スノーが同じステージで現れることが予想されるためタイヤチョイスが勝敗を分けることになるでしょう。

筆者にとって忘れられない一勝である1991年のラリー・モンテカルロ。トヨタのサインツが優勝を果たした。

ラリーの概要は核の通りです。

文：福井　敏雄