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最後までチャンピオンを諦めずに挑み続けた2号車
SUPER GTの最終戦に特別賞を設けました。
当然、公式の賞典ではありません。
シリーズ初の12月開催。晴天に恵まれ、雨に悩まされることはなかったのですが、低温で路面温度は低く、それをどのように対応するかが問題だった。しかし、12月開催データ、コンディションデータ、実績等々がない中にも関わらず、チームとドライバーたちは、予選、決勝で素晴らしいパフォーマンスを披露してくれた。ご存知のようにGT500クラスでは、最終戦までに大量リードを築いていたTOM’Sチームの36号車が予選でチャンピオンを決定するという歴史的な決定劇を演じてくれて、決勝でも有終の美を飾るという同チームの50周年に相応しいエンディングでした。ポールポジションから坪井 翔選手がトップをキープして、ドライバー交代。セカンドスティントを託された山下健太選手が後続のマシンに攻め立てられながらもトップでチェッカーフラッグ。マシンから降り、ヘルメットを脱いだ山下選手の顔は、頬がこけているのではないかと思うほど憔悴して見えた。何度かトップを奪われそうになっても、トップを守った。レース後にブリヂストンタイヤの開発責任者に取材したところ、36号車と果敢にトップを奪おうと攻め立てたNISMO NDDPの3号車のセカンドスティントのタイヤ選択は異なっていたとのこと。3号車のタイヤは、36号車よりも低路面温度に対応したタイヤだった。その状況で持ち堪えた山下選手には【本当に良く我慢したで賞】をあげたい。
そして、36号車に対して一度は鼻先を前に出した3号車の三宅淳詞選手がチャレンジする姿、ドライビングは素晴らしかった。第2戦の富士大会で優勝するもチャンピオン争いには残れなかったが、最終戦の優勝に賭けたチームとドライバーたちにはグッとくるものがありましたよね。どうです?そこで三宅選手には【魅せてくれたで賞】を!
そして、そしてもう一人。GT300クラスランキング3位で最終戦を迎え、予選におけるポイント獲得と優勝はチャンピオンへの絶対条件だったmuta Racing INGINGの2号車。Q1を担当した平良響選手がアタックしていてデグナーカーブで痛恨のスピン。しかし、そこで諦めることなく再度アタックして4番手でQ2のアッパーグループに残った。諦めずにチャンピオン獲得へ挑んだその闘志に対して【諦めないファイティングスピリット賞】を!
決勝は、3番手グリッドから2番手にポジションアップ、オーバーカット作戦+タイヤ無交換という実効可能な作戦を使い切って2位ゴール。勝者の陰でも光った存在だった。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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