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初参戦から30年。ついにチャンピンとなったJLOC
猛牛が鈴鹿を駆け抜けた!
88号車 VENTENY Lamborghini GT3がトップで最終戦のチェッカードフラッグを受け、逆転でGT300クラスのチャンピオンを獲得した。
モータースポーツは、筋書きのないドラマだ。2024シーズンの最終戦となった鈴鹿でハリケーンが吹き荒れた。【HURACAN=ウラカン】はスペインの闘牛の名から命名、またウラカンは、ハリケーンを意味するスペイン語でもある。
猛牛ウラカンが大観衆の前を駆け抜け、11点差をひっくり返しての逆転チャンピオン獲得。GT選手権からSUPER GTに至る30年間に最終戦逆転チャンピオン獲得劇は11回あり、今回で12回目。それも10点以上の差があっての逆転は、4回目だった。
最終戦にチャンピオンの可能性を残していたのは3チーム。65号車LEON PYRAMID AMGがランキングトップ。次に88号車。そして2号車muta Racing GR86 GT。2号車は、予選ポールポジションを獲得して優勝しても65号車が予選2位以下、決勝9位以下でなくてはチャンピオンにはなれない。2号車は、予選3番手。覇権は、事実上65号車と88号車の間で争われることとなった。
Q1で88号車がトップタイムを奪取、Q2で2番手、合算タイムによってポール獲得。65号車は、Q1で9番手、Q2で10番手、合算タイムで10番手。チャンピオン獲得に黄色信号が灯り、決勝は2位以上でゴールしなければならなくなった。
ファンファーレが轟き、闘牛場と化したサーキット。猛牛が闘牛場(サーキット)に現れ、ゆっくりとポールポジションのグリッドへ着いた。
猛牛は、スタートから猛進。ミニマムラップの17周でピットイン、ドライバー交代。ライバルたちはタイヤ無交換作戦で88号車を追い立てた。猛牛の後ろ足の蹄=タイヤ2本を交換してものすごい雄叫びを上げながら再び闘牛場へ。目前にはタイヤ無交換の2台。その一台が2号車だった。猛牛の視界にはマタドールの翻す赤いムレータしか見えない。一台を一撃で処理し、2位へ。そしてトップの2号車もウラカンの猛烈な勢いの前にはとどめを刺す剣を構える間もなく力無く後退せざるを得なかった。順位を上げる度にサーキットに轟く「オレーッ」の歓声。背後では65号車もタイヤ無交換作戦で順位を上げて4位まで順位を上げてきていたが、2位まで順位を上げてゴールしなければチャンピオンになれない。65号車はそのまま4位でコントロールラインを通過。88号車に栄光のチェッカードフラッグが振り下ろされた。4点差でチャンピオンを獲得。初参戦から30年、ついに猛牛がクラスの頂点に立った。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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