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モーター スポーツ コラム 2024年11月7日

レーシング・ジェンガ ~36号車au TOM’S圧勝から考える~

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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圧勝で2勝目を挙げた36号車au TOM’S。

直方体の木片54本を3本ずつ縦横に積み上げたタワーから片手で一本を抜き、一番上に積み上げるテーブルゲーム、『ジェンガ=Jenga』 。ご存知の方、遊んだ方、いらっしゃるでしょう。私はこのゲーム結構好きです。年齢を問わずに楽しむことができます。複数人でプレーして最上段と最上段が3本整っていない状態の2段目以外の一本を抜き、積んだ際にタワーを倒した人が負け。各直方体はみな同じように見えて、わずかな歪みがあって、それを見極めながらプレーする。

モータースポーツはジェンガのようだなと思うのです。名付けて【レーシング・ジェンガ】。
ひとつのタワーを複数人でプレーするのではなくて、各チームひとつずつ有するタワーに対して木片のピースを抜いてできる限り高く積み上げる。高く積み上げたチームが勝ち。途中で倒れたらそれはトラブル発生、最悪はそこでリタイヤということにもなる。

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54本の木片=マシンは、各チームのガレージで整備され、チェックされて積み上げられたタワー状態でサーキットに搬入されて、最終のチェックを終えて走行へ備える。そのタワーは。俗に言う<持ち込みセッティング>の状態。その後は、その場のコンディションに合わせた木片積み上げ順番の変更を行うことがあるかもしれない。しかし、今やトップカテゴリーで大きなセッティングの変更は、負けを意味するようなものでしかない。いざ最初の実走行=練習走行チェックのためにコースへ。ジェンガもプレー開始。片手でピースを抜いて、積み上げるのは、コクピットでマシンを操るドライバーの役目。データとドライバーの感触を総合したサイドの木片積み上げ変更を行なって予選へ。予選でトラブルがなければ決勝へ向けたタワーの構築。
レーシング・ジェンガでは、抜いたピースをどこへ積んだら良いかをチームからアドバイスをすることはできてもタワー=マシンの状態を把握しているのはドライバーのみ。

SUPER GT第8戦で圧勝した36号車au TOM’Sは、チームもドライバーも予想以上の速さ=高さで優勝。それも2勝目を獲得。最初のタワー積み上げはタイヤメーカーを含めてチーム(エンジニアさんとメカニックさん)の役目、そしてコースに出てからのレーシング・ジェンガのプレー=ドライブはドライバーの役目。今回の36号車の優勝は、プレーヤー=ドライバーのパフォーマンスが高かったようだ。終わってみれば、2位に20秒の大差をつけた。

ジェンガをご存知なくてプレーしたことのない方には、理解が難しかったでしょう。ご容赦

文:高橋 二朗

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高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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