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オフィシャルさんがいなければレースの運営は成り立つことはない
「あらゆるモータースポーツ競技が安全で公正な規則のもとで行われるよう尽力しているオフィシャルの献身的な行動がなければ、われわれのスポーツは存在しなかったでしょう」
これは、9月24日に発表されたFIAのニュース内の国際自動車連盟(FIA)会長のモハメッド・ベン・スレイエム氏のコメントです。2025年にFIAの組織内に<オフィシャル部門>を設立し、国際的に全てのレベルのオフィシャルさんに関する事を網羅する。そして既存のオフィシャル委員会、ボランティアと連携してオフィシャルさんの人材採用をサポートし…。
つまり、FIAがオフィシャルさんの採用と育成に本腰を入れるということなのですね。全世界で302,000人のオフィシャルさん(職業オフィシャル、マーシャル、ボランティアを含む)が、60,700ものイベントをカバーしていると報じているのですが、単純な割り算をしても単一イベントに従事している人数は5人に満たない。サーキットレース、ラリーなどはこの人数では到底運用できず、同一人物が複数、それもかなりの数の競技でオフィシャルさんとして従事している。サーキットに帰属する社員のオフィシャルさんは、イベント毎に競技運営に携わっているのは、当たり前だけれど、コースマーシャル、ピットマーシャル、車検員さんなどの多くはボランティアだ。
先日のSUPER GT第6戦の菅生大会でも、毎回のように顔を合わせるオフィシャルさんとピットで言葉を交わした。その多くは、関東圏と関西圏に分かれて複数のイベントにオフィシャルさんとして活躍してくださっている。年間に複数回同じオフィシャルさんたちと顔を合わせるということは、絶対的なオフィシャルさん不足を示している。菅生の予選が豪雨で中止された直後に数人のオフィシャルさんたちは、ぐっしょりと濡れ鼠のようになりながらも、笑顔で挨拶を交わしてくれた、ベテランオフィシャルさんは「歳とってくると雨はきついね(笑)」と。ここにも高齢化問題が深刻になっている。ボクらは、メインイベントだけ外に出て仕事すれば良いのだけれど、オフィシャルさんたちはそうはいかない。早朝から全レースが終わるまでその場を離れるわけにいかない。
FIAが動く。モータースポーツを行うためには、オフィシャルさんの確保が重要と危機感を感じているあらわれである。でも、今になって? ちょっと遅い。早くしないとモータースポーツができなくなる。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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