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モーター スポーツ コラム 2024年9月4日

~嫌いじゃないのよ~WEC第6戦での出来事

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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アメリカのCOTAで開催されたWEC第6戦

少年Aは、活発かつ利発で人気者だった。
小学校では、学級委員、学級委員長、児童会会長に毎年選出された。目立つ存在。
授業では、常に率先して教諭に受け答えをし、課題にはいの一番で手を挙げ、正解率も学級内で一番。しかし、授業中の私語が多いのが玉にきず。担当の教諭には疎まれることもあった。それを如実に示されたのが、父兄の授業参観日に担任女性教諭に「うるさい!黙りなさい!」の一言。少年Aの母親は、その場から消えて居なくなりたいほどの恥ずかしさを感じ、少年Aの帰宅から数時間のお説教をすることとなった。学期の終わりに当の担任女性教諭は、「あなたは、すごく良い部分を持っていて、リーダー的な存在なのだから、私もついも厳しい対応をしました。しかし、貴方を嫌いだなんて思っていないの。だから、これからも頑張ってね」と語りかけ、3学期の通信簿を手渡した。

世界耐久選手権(WEC)第6戦。アメリカのサーキット・オブ・ジ・アメリカで行われた6時間レース。練習走行から予選で苦戦を強いられていたTOYOTA GAZOO Racing(TGR)。しかし、7号車は、決勝でパフォーマンスを上げ、そして作戦も成功してレースの3分の1を残してトップに躍り出た。二番手との差を10秒以上に広げて予選までとは打って変わって快走を披露してゴールを目指した。ハイパーカークラス(HP)の先駆としていち早く車両開発に着手。その強さは圧倒的と言っても過言ではなかった。特にルマン24時間レースでは、LMP1クラスからの5連覇は、その証明。

ご存知のようにWECではバランス・オブ・パフォーマンス(BOP)が毎戦変更されて参加各車のパフォーマンスを均一化して拮抗するレース展開を演出している。現在8メーカーが参加しているHPクラスでTGRのウエイトがほとんどの場合最も重く、使用許容エネルギーは少なくされている…。4項目の指標は、常に厳しい値となっていることが多い。参加メーカーは、BOPに対する意見はできない紳士協定になっているので従うしかない。厳しいBOPは、パフォーマンスの高さに対する【勲章】か。

けれどもTGRは、苦戦が予想された状況でも結果を出してきた。第6戦もそのようになるはずだった。終盤トップ走行のTGRの7号車に科せられたペナルティーは、如何なものか。映像から見るとコーナーを立ち上がった直後のオブザベーションポストでは確かに黄旗が振られているが、それがダブルであるかは瞬間的には分からないし、その区間で確実なスピードダウンが可能かの判断は難しいのではないだろうか。残り時間10分でドライブスルーペナルティを消化してコース復帰してゴールライン上ではトップの車両との差は1.7秒だった。しかし、ペナルティで勝利は失った。

果たしてFIAのWECコミティーとオーガナイザーは、私たちは、TGRが嫌いじゃないのよ・・・」と言うのか?

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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