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モーター スポーツ コラム 2024年7月18日

スーパーフォーミュラ2024第4戦プレビュー:公式テストを経て迎える第4戦、シーズン後半のカギは“富士をどう攻略するか?”

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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富士スピードウェイで開催されるスーパーフォーミュラ2024第4戦

2024年の全日本スーパーフォーミュラ選手権第4戦が富士スピードウェイで開催される。前回の第3戦SUGOが雨と霧のなかのレースでアクシデントが続出。12周終了時点で赤旗途中終了という不完全燃焼な結果に終わってしまった分、今回は好レースを期待している人も多いだろう。

ここまで序盤戦を振り返ると、ドライバーズランキングではTEAM MUGENの2台がリード。野尻智紀が36ポイントで首位につけ、チームメイトの岩佐歩夢が29.5ポイント差で2番手に続いており、これから始まる中盤戦以降も彼らがトップ争いの中心的存在になっていきそうな予感だ。

特に富士スピードウェイに関しては圧倒的な強さを見せており、同地における直近3年のTEAM MUGENの勝率は約85%と、データから見ても富士を得意にしていることがうかがえる。

しかし、7月7日・8日に行われた富士スピードウェイでの公式テストでは、野尻が昨年から悩んでいるという症状を消すことができず苦戦。2日目午後のセッション4でも当初は決勝を想定したロングラン走行を予定していたが、急きょショートランのテストに変更するなど対応に追われていた。一方の岩佐は、2日間合計で全ドライバーのなかで最多となる178周を走破。特に2日目の午後は淡々とロングランテストを行い、さまざまなデータを収集していた。2日間の総合結果を見ても3番手タイムと上位につけてはいるが、トップに立てるかどうかについては慎重なコメントをしていたのが印象的だった。

そんななか、この富士テストで速さをみせたのがランキング3番手につける牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だ。

牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)

第2戦オートポリスで初優勝を果たし、現在ランキング3番手につける牧野。鈴鹿サーキットでの開幕前テストでも好調だったが、今回の富士テストでも新品タイヤのアタックでライバルを圧倒する走りをみせて、テスト1日目の2セッション両方でトップタイムを刻んだ。

2日目はタイム的には上位に来ることは少なかったが、全く異なるコンセプトのセットアップを試すなど、中盤戦に向けて着々と準備を進めていた様子。「細かい引き出しを作ることができた」と、開幕前以上に自信を深めていた様子だった。

その牧野と同じように手応えを掴んでいたのが山下健太(KONDO RACING)だ。1日目のセッション2では牧野のトップタイムには及ばなかったものの、0.058秒差で2番手につけ、2日目午前のセッション3では1分23秒099でトップタイムをマーク。これが2日間通しての全体ベストタイムとなった。

今までは冬のテストでは速さを見せることが多かった山下だが、シーズン開幕を迎えると苦戦してしまうということが多かった。ただ、今季は開幕戦での2位表彰台をはじめ、第2戦オートポリス、第3戦SUGOでも予選Q2に進出しており、今回のテストでも終始速さをみせていた。

山下健太(KONDO RACING)

本人もいつもとは違う手応えを得ていたが、「スーパーフォーミュラなので油断はできないです」と慎重。とは言いつつも、微妙に路面コンディションが異なる各セッションに対応して好タイムを刻めたという部分では自信になっている様子だった。

もう1人目が離せないのが、第2戦・第3戦と連続で3位表彰台を獲得している坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)だ。新品タイヤを履いた一発の速さでは課題が残っていた様子だが、決勝を想定したロングランではライバルも警戒するほどの安定感をみせていた。坪井が乗っている車両は昨年チャンピオンを獲得した宮田莉朋が使用していたもの。彼も昨年は決勝ペースの良さを強みにしていたが、それが今年の坪井でも発揮されているということが、テストでも再確認された。あとは課題としている一発の速さが改善されてくれば、トップ争いに絡んでくることは間違いなさそうだ。

この他にも、上位進出の兆しを見せつつあるドライバーも何人かいたが、最終的に勝敗を分けるカギとなりそうなのが“その時の路面コンディションにマシンを合わせられるか”ということ。公式テストでも各ドライバーから聞こえてきた話だが、同じドライ路面であっても、気温や路面温度によって微妙に路面のグリップ感が変わってくるとのこと。過去の例をみても、富士スピードウェイは特にコンディションが変わりやすい傾向があるため、テストでの結果よりも、レース当日のコンディションにいち早くアジャストできたチームとドライバーが、チャンスを掴んでいくという展開も十分にあり得る。

そして、今年は公式テスト明けの中盤?後半戦6レースのうち、3レースが富士で開催されるというのも、離せない要素。現時点でランキング上位にいないドライバーたちも、富士で調子が良ければ、一気に逆転することも可能だ。それだけに、この第4戦で誰がレースの主導権を握るかというのも、今後のチャンピオン争いを見ていく上でも重要な要素となるだろう。

今のところ天気予報は2日間とも良好な見込み。今回はたくさんのイベントが開催されるほか、三笠宮家の瑶子女王殿下の賜杯を頂戴し「第1回瑶子女王杯 全日本スーパーフォーミュラ選手権 第4戦 富士大会」として開催されるため、今まで以上に大きな注目を集める大会となりそうだ。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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