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「フェラーリ」全国公開中 配給:キノフィルムズ
話題の映画、(自分が思っているだけかもしれませんが)
「FERRARI」を観てきました。良かったです。お勧めです。
ヒューマンドラマとしても自動車レースを扱った映画としても良い映画であったと思います。プロットは明かしません。これからご覧になる人に失礼ですから。
ボクは、この映画が描かれた時代に丁度生まれました。イタリア人の気質だったり習慣だったりは、ボクが同国企業の仕事をしていた1980年代から2000年にかけてのそれが、映画とシンクロするシーンが多くて懐かしく感じたのです。日本でも過去の習慣や人と人との触れ合い方、絡みは、変わって来ているから、2000年以降は変化があるのかもしれないですけれど…。
フェラーリ社のあるモデナのマラネロにある本社の雰囲気は、映画の1950年代とボクが訪れた1980年代当時とあまり変わらなかった。決して近代的とは言えない工場の風景の中でシートやステアリングの皮革を縫製する年季の入った女性社員達はとても陽気で「どこから来たの?ジャポーネ!?遠くから来てくれたんだね。じゃぁ、お土産あげるね」と言ってシート素材の余り皮だろうものにカバリーノランバンが型押しされた栞を投げてよこしてくれた。「グラッツェ」とお礼を言うと、「ノンチェ、ノンチェ。プレーゴ」と大袈裟なジェスチャーと共に笑ってかえしてくれた。そしてエンツォ・フェラーリの事務所の雰囲気は、ボクがお世話になっていた企業のそれと似ていて、イタリアの古き企業の事務所だった。
イタリアを舞台とした映画では、食事のシーンはお決まり。
「FERRARI」でも社員と共にテーブルを囲むシーンがあった。「ゴットファーザー」でも家族やマフィアファミリーと共に食事するシーンはあったでしょ。
1988年のことだった。
マラネロ本社の隣、ピスタ・ディ・フィオラーをあとにしてモデナの中心を訪れて、当地のモータースポーツクラブの会長以下理事たちと会食することになった。長いテーブルの両脇に30名ほどが着座して次々に給仕される美味しい料理を楽しんだ。その様は、まるで映画に出てくるシーンだった。
映画でエンツォ・フェラーリがメディアから「コメンダトーレ」と呼びかけられる。コメンダトーレは指揮官の意であり、まあ、日本では「社長!」と呼ばれている感じ。
コメンダトーレは、絶対的な実権を有していて、良い意味でも悪い意味でも独断的であり強烈な個性で人を惹きつけ、全責任を取る。その様が「FERRARI」でもしっかりと描かれていた。
勿論、レーシングカーの走行シーンは圧巻です。
お勧めです。
今風に言えば、推しです。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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