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天候不良で赤旗終了となったスーパーフォーミュラ第3戦。
モータースポーツと同じくらい好きなスポーツは、登山。
共に自然を相手にしているから。
モータースポーツが自然を相手に?と思うかもしれないけれど、高度な道具を用いて速く走ることは、自然を相手にしている。
登山は、基本的に本人一人で自然に対峙して頂点を目指す。
モータースポーツは、ライバルに勝つことを目指すために多くの人たちの叡智を集結させる。
自然に対する畏怖を蔑ろにして立ち向かえば、大きなしっぺ返しを喰らい、自然の力を軽んじていると死に至ることだってある。
そのためには、安全を最重視した準備が不可欠。人間の本能を触発させる魅力のあるスポーツは、絶対に蛮勇だけでは成り立たない。
全日本選手権スーパーフォーミュラ第3戦SUGO。決勝日の天候は、朝から雨。コースコンディションはウエット。霧も出て、走行できるかが危ぶまれた。ウォームアップ走行で1台が最終コーナー走行中にコースオフしてクラッシュ。決勝に出走できなくなてしまった。天候の好転を待ち、スタート時間が大きく遅れ、なんとかセーフティカースタートで決勝が始められたものの2台がクラッシュ、1台はコースオフからなんとか立ち直してコースへ復帰することができた。結局、クラッシュによって赤旗提示され中断し、そこでレースの終了が決定された。
ここで注目したいのが4台が同じ最終コーナーのほぼ同じ場所でコースオフしていること。そしてクラッシュした3台中2台のマシンが直接ガードレールにクラッシュしていること。コースオフが予測される場所のアウト側にはタイヤバリアの配置がされるべきだったのに、そこには無かった。コースの安全性に関する規定が変えられてガードレールの前に置かれるのはスポンジバリアからタイヤバリアに変更しなくてはならなくなったことで主催サーキット側の準備が完了したのはイベント開催直前だったと聞く。そして、運悪くと言うべきか、決勝日がウエットコンディションとなって最終コーナーを立ち上がるセクションで複数台がコースオフしてしまった。
登山も、それが低山だとしても、本人の体調と安全に関わる準備が不足していた場合には登頂を断念すべき。天候が悪化した場合には尚更のこと。
モータースポーツにおいてウエットコンディションではスタートされるべきではないとは言わないが、安全が補完されているかどうかを判断する精度を高めなければ、アクシデントは繰り返される。今回、クラッシュしたドライバーに大きな怪我が無かったことは幸いだった。
危険性のあるスポーツに対して、なぜ好き好んで・・・、という言葉が投げかけられることが多い。それに対する答えは【挑戦】。自然に対する【挑戦】。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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