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SUPER GT第3戦
ゴルフの全米女子オープンで笹生優花選手が最年少優勝、同大会2勝目を記録した。フィリピン人の母、日本人の父を持ち2021年に同大会で優勝した後は、勝てずに苦しい時間を過ごしていたことを知られている。
SUPER GT第3戦では、元F1ドライバーのフランス人の父、ジャン・アレジ氏と女優の日本人の母、後藤久美子さんの息子ジュリアーノ・アレジ選手がGT500クラスで初優勝を飾った。2021年から活動の場を日本に移したが、父が元F1ドライバーが故に否が応にも注目を集めた。全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権でチャンピオン争いを演じたもののランキング2位。彼は、予選、決勝の後に必ず国際電話で父に結果を報告、ドライビングのアドバイスをもらっていた。同年には上位カテゴリーの全日本選手権スーパーフォーミュラにWEC出場のため欠場した中嶋一貴選手の代役として参戦。第3戦オートポリスではウェットコンディションの中ポールポジションを獲得。決勝は赤旗中断後にレース終了となって優勝する運の強さも発揮した。
しかし翌年の2022年にレギュラードライバーとしてステップアップを果たすものの、ポイント獲得フィニッシュは1回だけ。そこから彼の苦悩のシーズンが始まった。クルマのセットアップ、ドライビングについてエンジニア、チームの首脳陣との間で長いディスカッションを行い、時には、厳しい指摘をされ、それに対して語気を荒げるシーンも目にした。スーパーフォーミュラ・ライツ時代の明るい表情が影を潜め、2023年は第5戦終了後、シーズン途中でシートを失うという屈辱を味わった。SUPER GTでは2021年GT300クラス。2022年からGT500クラスで戦い、表彰台獲得は1度だけ。他チームと比較されるより、チャンピオンへまっしぐらのチームメイトのクルマと比較される針のムシロの上のようなシーズンを過ごしていた。
アレジ選手は、スーパーフォーミュラで片岡達也選手をアドバイザーに迎えていた。Super耐久シーズの24時間レースに参戦、チームの大黒柱である片岡選手のアドバイスを受けて安定した速さでラップを重ねST-Xクラスで総合優勝。そして、その翌週にSUPER GTで初優勝。最終スティントを担当したアレジ選手。ピットインのタイミングで首位を奪われてしまったが、トップの14号車がペナルティで後退という運もあった。2位へ順位を挽回した14号車の福住仁嶺選手の猛追で差を詰められながらも最後は突き放す強さを示してトップでゴールラインを切った。ウイナーインタビューで嬉しさを爆発させたアレジ選手。
笑顔のジュリアーノが帰ってきた。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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