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モーター スポーツ コラム 2024年6月1日

二つの顔をもつS耐

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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富士SUPER TEC 24時間レース©FSW

富士SUPER TEC 24時間レース (C)FSW

行ってまいりました。スーパー耐久の24時間レース。

毎年、このイベントだけですが、お邪魔しております。
今シーズンの開幕は菅生で、富士の24時間が第2戦。
エントリー台数59。一台が練習走行中にエンジントラブルが発生してエントリーを取りやめたので58台となり。クラスは、7つに分かれていて、ドライバーの総勢は、なんと246名。
現在日本国内で唯一の24時間レースは、シリーズの一戦ではあるのだけれど、このレースは他のシリーズ戦とはちょっと違うお祭り的な様相を持ちながら、それとは異なる側面を年々強くしている。
N1耐久からスーパー耐久へ名称変更した。それは、参加車両の改造度が増したことからで排気量と駆動形式の区分でクラスが分かれていた。今や排気量等の別だけではなくて参加型モータースポーツの面白みと自動車メーカーによる近未来車両の実験の場という意味合いも強くしてきている。

スーパー耐久は、偉大な草レースと表現されてきているけれど、その呼称は、もう半分正しくない。
N1耐久の名残を残すST5クラスからST1クラスまでの5クラスとは異なるX、Z、Qの3クラスのX、Zはグローバルなホモロゲーション車両。そしてQクラスは、規則書に【他のクラスに該当しないSTO(スーパー耐久機構)が認めた開発車両】と区分されている。トヨタの繰り出すカローラH2コンセプトは、その最たるもので、水素を燃料とて、レシプロエンジンで動力を生む完全なる開発車両。そのクルマにMORIZO選手が乗り込んでいるので話題にならないはずがなく、その他のメーカーも市販車両をベースにCNFを使用するマシンを開発してエントリーさせている。そのピット内の風景は、国内トップツーリングカーに参加するワークスチームのそれよりスタッフ数も凄い。トヨタは、GR Supra Racing conceptとい車輛もエントリーさせていて、これは、GAZOO RACING EUROP(GRE)が現在開発しているSupraのGT4車両であって、国内のプロドライバーに加えてGREの副会長である中嶋一貴氏が自らステアリングを握っていた。今後ドイツのGREから全世界にこのGT4車両が市販されるので、副会長が自ら開発陣のスタッフとなるのも当然。これを見れば、Qクラスというのはレースという現場でマシン開発をしていて、スーパー耐久が格好の開発現場となっているのが明確。

と、いうことを番組でちゃんとお伝えできたかどうか?
それが心配で心配で。
伝わっておりましたでしょうか…。

※スーパー耐久機構は、6月より一般社団法人 スーパー耐久未来機構へ事業を継承することになています。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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