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シリーズとして10年でここまで成熟できた背景には「フォーミュラE」が発足当初から掲げてきたサステナブルな取り組みやプロモーションがあるでしょう。主催者の希望次第で1ラウンド2戦開催のレースもありますが、「Tokyo E-prix」のように1ラウンド1戦の場合、予選と決勝を1日で終わらせてしまうスケジュールになっています。これは参戦するチームにとっては参戦コストが抑えられるメリットがあります。1日開催の場合は土曜日に開催されることが多いため、ファンは日曜日にその街を観光することもできるのでシティセールスに結びつけやすく、主催者する側にもメリットがあるわけです。
とはいえ、都市部の市街地レースは特設サーキットを作り、インフラを整備しなくてはならない負担も大きいので、今季はミサノ(イタリア)、上海(中国)など常設サーキットでの開催が増えました。この背景には「フォーミュラE」マシンのスピードアップもあるでしょう。距離が長く、その性能を活かせるコースレイアウトが必要になってきています。さらに今後は急速充電ピットストップ「アタックチャージ」も導入される予定で、よりスピード域の高いレースになっていくので、今後常設サーキットでのレースは増加するかもしれません。
そんな中で今季唯一の「新しい都市部での市街地レース」となる東京開催は「フォーミュラE」の未来がどういう方向に向かっていくのかを決めるキーとなるイベントです。参戦する自動車メーカーもその成功を注視しているはずです。全てが初めてづくしで、日本初の公道自動車レースとなる東京大会「Tokyo E-prix」の成功を祈念します。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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