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シーズン唯一のフルスノーラリーとなるラリー・スウェーデン。
緒戦のモンテカルロは、10勝目を目指すオジェとヌーヴィルが秒差の激しい勝負を展開、ヌーヴィルが逃げ切りモンテカルロ通算2勝目を挙げました。まだ始まったばかりのシーズンですが、ヌーヴィルは初の世界タイトル獲得に向けて充分なポテンシャルを持っていることを示す好勝負であったと思います。それにしてもこのところのモンテカルロは“雪と氷のウィンターラリー”の看板が泣くようなコンディションでしたね。それでも所々に現れるVerglas(フランス語。ブラックイアイスのこと)に引っ掛かるドライバーが多く、モンテが難しいラリーであることには変わりません。
トヨタは2-3位を確保してメーカーポイントで有利を保ちました。
ラリー・スウェーデンは、1950年以来開催されているWRC常連国の中でも古参のイベントで当初は真夏に開催されていました。1965年より雪と氷のラリーとして以来、ユニークな性格をもってファンを楽しませています。開催地は長い間、南部のカールスタッドでしたがここも暖冬異変の影響を受け、数年間にわたり拠点を100キロ北部に移すなど工夫をしました。それでも雪不足が発生し、むき出しのグラベルでスタッドが抜けるなど本来の雪上ラリーとは言えない状況に遭遇しました。主催者は2022年から開催地を大幅変更、ストックホルムから約600キロ北のウメオに設置、今年もここが拠点となります。除雪によるスノーバンクに守られて最高速は200キロに達します。高速ラリーとして知られるフィンランドに次ぐWRC2番目のハイスピードです。サイクルタイヤのあだ名を持つ超幅狭タイヤを使用します。ここでも北欧以外のドライバーの勝利は難しく1973年WRC創設以来北欧人以外の優勝者はオジェ、ヌーヴィル、タナク、エヴァンスの4名のみです。
トヨタは昨年優勝のロヴァンペラを筆頭にエヴァンス、勝田がエントリー。ヒュンダイはヌーヴィル、タナクに加え今回はラッピがエントリー。フォードはフルモー、ミュンスターの2台体制。賑やかになってきたRC2クラスはトヨタ・ヤリス8台を含む20台がP2ライセンスを持ってエントリーしています。この中にはトヨタチャレンジプログラムで訓練中の山本、小暮遼選手が挑戦します。注目しましょう。競技は標準型の300キロ、中間サービスは3日共有ります。ラリー概要は下記のとおりです。
SS本数 | SS km | Liaison km | Total km | |
---|---|---|---|---|
L-1 (2/15-16) | 8 | 113.94 km | 340.95 km | 454.89 km |
L-2 (2/17) | 7 | 126.74 km | 413.42 km | 540.16 km |
L-3 (2/18) | 3 | 61.08 km | 160.84 km | 221.92 km |
Total | 18 | 301.76 km | 915.21 km | 1216.97 km |
文:福井敏雄
福井 敏雄
1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。
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