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第7戦を制したau TOM'S GR Supra 36号車。
SUPER GT第7戦、九州のオートポリス。
このレースは、モータースポーツというものと、現在行われている同シリーズの面白みとドラマチックなシーンが満載でした。ご覧いただいた皆さんも大きく頷いていただいていることでしょう。
オートポリスでは初の450kmレース。今シーズンは大半が450kmとなっていて、全関係者が攻略に頭を悩ませている。誤解を恐れず表現すれば、「いい加減に中途半端な距離」。そこに2回の給油とドライバー交代義務が被せられて、これがミソとなってイロイロな戦略が捻り出される。チーム、エンジニア、ストラテジスト、そしてドライバー。それだけではない、マシンメーカーのエンジニア、タイヤメーカー。全ての関係者がプロモーターであるGTアソシエーションの仕組んだ仕掛けに挑戦し、勝利を目指している。
第7戦はメカニックさんたちの活躍もあった。ARTA MUGEN NSX-GT 8号車が練習走行中にコースオフ&クラッシュ。マシンがピットに戻ってきた状態を見た時、これは予選には間に合わないと思った。しかし、約3時間半で大破した右フロントエリア、ドアをリペア。GT500クラスのQ1が開始される1分前に全ての作業が完了してコースへ送り出した。これは素晴らしかった。同チームのメカさんたちに大拍手を送りたい。日本のメカニックさんの作業の速さ、的確さは世界ナンバーワン!!保証します。
今回はセイフティーカー(SC)が導入されるようなアクシデントが起こらなかった。フルコースイエロー(FCY)は4回導入されたけれど、それぞれ2周だけでレースが再開された。FCY中にコースオフしたマシンの復帰処理を迅速に行ってくれたオフィシャルさんありがとうございました。これでレースは間断なく進むことができた。
レースに目を移すと、GT500クラスでは12番手グリッドからスタートしたau TOM'S GR Supra 36号車がレース97周を三分割して義務項目を消化するというオーソドックスに見えて、ドライバーのパフォーマンスを最大限に生かした作戦で見頃に優勝、今季2勝目でポイントランキングトップに躍り出た。3位に追い上げてから先行車にピタリと着き、見事なパッシングを2度披露してくれた。
GT300クラスでは、最大セクセスウエイトを積む埼玉トヨペットGB GR Supra GT 52号車が予選で四番手グリッドを獲得すると、お得意のアーリーピットインで給油を一回。その時にはタイヤ交換を行わない作戦で二回目のピットインでフルサービス。ポールポジションスタートのmuta Racing GR86 GT 2号車とのトップ争い、トップに立ってからもmutaとデッドヒートを繰り返し、その差はゴールライン上で僅か0.6秒差だった。
両クラスの足元を支えたブリヂストンタイヤのエンジニアリングマネージャーさんは、コンディション、チームの作戦を許容するタイヤ供給も全て想定内だったとニンマリ。
素晴らしいレース見せていただき、ごちそうさまでした。いや、ありがとうございました。そして全てがお見事でした!!
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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