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モーター スポーツ コラム 2023年9月9日

終盤戦がスタート!ブレガが逃げ切るか、マンジーが追いつくか? | FIM スーパースポーツ世界選手権2023 第9戦 マニクール(フランス) プレビュー

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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FIM スーパースポーツ世界選手権2023 第9戦 マニクール(フランス)

FIM スーパースポーツ世界選手権2023 第9戦 マニクール(フランス)

スーパーバイク世界選手権に次ぐ世界選手権スプリントレース「FIMスーパースポーツ世界選手権(WSSP)」の第9戦がマニクール(チェコ)で9月8日(金)〜9月10日(日)に開催されます。2人の日本人ライダー、岡谷雄太(カワサキ)と阿部真生騎(ヤマハ)が参戦するWSSP。サマーブレイク明け、終盤戦のスタートとなる第9戦のプレビューをお届けしましょう。

まず、日本人ライダー2人の状況から見ていきましょう。岡谷雄太(カワサキ)は昨年まで軽量級クラスである「スーパースポーツ300世界選手権」に参戦し、今季からカワサキZ X−6RでWSSPを戦っています。かつては中量級と呼ばれたWSSPですが、昨年からは排気量が600ccを超えるバイクも参加できるようになり、レースの雰囲気は大きく変わりました。そんな中、岡谷はコーナリング重視の600ccバイクでレースを戦っています。

ただ、カワサキ勢は今季とても苦戦しています。カワサキ最上位のアドリアン・ウェルタス(カワサキ)でもランキング11位に留まっており、前半戦でカン・オンジュ(カワサキ/怪我で欠場中)が優勝を飾っているものの、ドゥカティ、MVアグスタに比べるとポテンシャル的には厳しい状況です。

岡谷も今季が初の600ccでのスプリントレースであり、プライベーターからの参戦で苦戦気味。最高位は21位となっており、ノーポイントレースが続いています。

そんな岡谷は第8戦・モストの後、「Kawasaki Plaza Racing Team」のライダーとして1000ccのカワサキZX−10Rに乗って鈴鹿8耐を闘いました。チームメイトの岩戸亮介が転倒による脳震盪の影響で走れない中、2人体制で暑い鈴鹿を走り切り、NSTクラスで2位表彰台を獲得。慣れない1000ccバイクで健闘してみせました。その良い流れを今季の残りのレースにも活かし、ポイント獲得を期待したいところです。

そして、ヤマハYZF−R6で参戦の阿部真生騎(ヤマハ)はさらに厳しいレースが続いています。ノリックこと阿部典史さんの息子であることから、ヨーロッパのレースファンにも注目されている阿部真生騎(ヤマハ)ですが、今季は予選落ちが2回、完走も僅かに4レースとなかなか結果に繋がりません。最高位は雨の大波乱となった第8戦・チェコのレース2で記録された22位。阿部は今年の鈴鹿8耐には参戦していないので、約1ヶ月半ぶりのレースということになります。

阿部自体が初のヨーロッパ武者修行という1年になっていますから、走り慣れないコースで厳しい結果になってしまうのは仕方がないことかもしれませんが、WSSPは世界選手権レースですから、学ぶだけの1年にしてはいけない部分もあります。残りのレースで成長を見せ、来季に繋げることが何より重要です。

日本人の活躍も期待したい終盤戦ですが、WSSPのチャンピオン争いはいよいよ佳境に入ってきています。ニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)が第8戦・モストのレース1で今季9勝目をマーク。選手権ポイント308点でシリーズをリードしています。ランキング2位のステファノ・マンジー(ヤマハ)=262点とのポイント差は46点に拡大し、終盤戦は大きなマージンを持って残り8レースに挑めることになります。モストのレース2でノーポイントにならなければ、もっとリードを広げられていたのですが。

そんなニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)にビッグニュースが届きました。なんと来季はWSBK(FIMスーパーバイク世界選手権)にステップアップし、アルバロ・バウティスタのチームメイトとしてドゥカティワークスチーム「Aruba.it Racing Ducati」から参戦することが決まりました。これは大きなステップアップです。ブレガのテンションはさらに上がっていることでしょう。

さて、前戦・モストのレース2ではレース中に雨が降り出し、すぐに乾くと判断したライダーたちが上位に進出。森脇緑率いる「Petronas MIE Racing」から参戦のタラン・マッケンジー(ホンダ)がドライタイヤでステイアウトし、見事初優勝を飾りました。

元GPライダーのニール・マッケンジーの息子としてもお馴染みのタラン・マッケンジー(ホンダ)は今季からWSSPに参戦。ただ、ホンダ勢は厳しく、英国スーパーバイク選手権のチャンピオンとは思えないほどの苦戦ぶりでした。それが降雨によるミックスコンディションとなったことで、イギリス仕込みの本領を発揮。奇跡的な優勝を果たしたのです。

タラン・マッケンジー(ホンダ)は翌週の鈴鹿8耐では急遽、「F.C.C. TSR Honda France」のジョシュ・フックの代役として名門チームのライダーに大抜擢。トップ10トライアルでは転倒したものの、決勝レースでは序盤の転倒からの追い上げに貢献。なんと繰り上がりで3位という結果になりました。

本来ならばWSSPでもポイント獲得ギリギリのラインを走るライダーではないはずなのですが、彼は鈴鹿8耐で自身をアピールすることができたのではないかと思います。

そして、鈴鹿8耐で素晴らしい走りを見せたのが、ランキング3位のマーセル・シュロッター(MVアグスタ)です。「S−PULSE DREAM RACING・ITEC」から参戦したシュロッターは久しぶりのスズキGSX−R1000Rで安定した走りを披露。トラブルで順位を落としましたが、その走りのインパクトは大きいものでした。雨がらみのモスト・レース2では2位表彰台を獲得。ランキング首位のニッコロ・ブレガ(ドゥカティ)とのポイント差を94点に縮めました。ポイント差は依然大きいので逆転チャンピオンはかなり難しい状態ですが、1000ccマシンで走り込んだ後ということで、マーセル・シュロッター(MVアグスタ)の初優勝にも期待がかかります。

サマーブレイク明けとなるフランス、マニクールでの闘いは熱いレースになることは間違い無いでしょう。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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