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復帰戦となったSF第5戦では2位表彰台を獲得した野尻智紀
【肺気胸】という症状名を久しぶりに聞きました。
どれくらい久しぶりかというと、だいたい45年ぶり。
ボク自身、二十歳くらいの時に、特に胸に損傷があったわけではないけれど、肺気胸になった。原因がわからなかったので、【自然気胸】と診断されたのを記憶している。
野尻智紀選手が、肺気胸によって全日本Super Formula選手権第4戦を欠場したことをご存じですね。ディフェンディングチャンピオンの欠場だけに、ビッグニュースでした。二週間後のSUPER GT第3戦には復帰でき、大事に至らずほっとしました。野尻選手は、SFの第4戦に出場はしなかったですが、チームに帯同して現地におり、そしていつもとは違う目線でイベント全体を俯瞰できたらしい。もちろん自分はステアリングを握ることはできなかったけれど、走行に関して多くのことを感じたことは当然ながら同時にサーキットに詰めかけたモータースポーツファンへのサービス、プロモーションの面に多くを感じたことが6月27日配信のauto sport webに掲載されている。
2年連続のチャンピオンである野尻選手が、国内フォーミュラのドライバーとして頂点に立って自身が参戦しているSFがどれだけサーキットにいるファンに対してアトラクティブであるかを考え、そして、記者に取材を持ちかけるという行動に出た。参戦ドライバーとしては、時間の制約、極限の精神状態では感じることができず、コクピットに収まって疾走していて見えなかったことが多くあったようだ。
シリーズプロモーターやイベントの主催者で開催サーキットも来場者を迎え入れて楽しんでいただけるように手を変え品を変えての企画を立て実施しているが、ファン層の変化やそのファンの琴線にどう触れるかは、とても難しい。どれが正解かというものはないだろう。だから常にトライ・アンド・エラーの繰り返し。
小欄で前回にF1のプロモーションの現状について書かせていただいた。F1の手法も一つのトライだろう。
まずは、モータースポーツがどうしてファンを魅了するのかを考えることも必要だろう。サーキットにおける来場者に対するアトラクティブな企画は、まずサーキトのゲートに入った瞬間から非日常的な空間を演出する手法が必要と以前にもこの小欄で書かせていただき、タイトルを「ライバルはディズニーランド」とした。
資金面でもDLのようにアトラクションごとにスポンサーを募るという方式もトライしてはどうだろう。野尻選手のSF欠場がキッカケとなり新たな動きがあることを期待。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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