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レース前もレース中も様々なことが起きた今年のル・マン24時間。
モータースポーツの一大イベントが終わった。
100周年のル・マン24時間レースは、セレモニーなど沢山のアトラクティブな催しが目白押しだったようだ。観客数も30万人以上と聞きます。でも、有料観客はどれほど居たのでしょうか…。
全長13.6キロのサルトサーキットはいくつもの町、村を内包しているので住民皆さんや親戚の皆さんも100周年イベントを観戦していたのでしょうから。
番組をご覧いただいた方は、ご存知でしょう。
レースは、目まぐるしく変わる天候で荒れに荒れた状況でしたね。ボクが知っている限り、こんなル・マン見たことがない。それでもトップカテゴリーのハイパーカークラスで覇権を競ったメーカーの戦いは、ゴールまで僅差の争いが展開されました。
本命視されていたトヨタはル・マン6連覇に向けて乗り込んだ。最後の最後まで目を離すことができない24時間レース。フェラーリとトヨタの一騎打ちの末、イタリアの赤い矢が優勝。トヨタは、敗れた。
直前になってバランス・オブ・パフォーマンス(BoP)が変更されて、トヨタは大きな足枷をかけられた。これまでにも十分すぎるウエイトを積まれているのに…。トヨタを負かすためという表現は正しくないだろうが、結果的にそうなった。イベントの主催者にとっては、最後の最後まで結末がわからない演出は大成功だっただろう。
トヨタに対して何か仕掛けてくるだろうとは思っていた。しかし、話し合いもなく、打診もなくて一方的な通達は、いかがなモノだろうか。噂ではライバルメーカーが白熱したレース展開のためにという名目でBOPの変更を提案したとか。
ル・マン24時間レースは、世界耐久選手権(WEC)の一戦であるけれど、それ以上に単一イベントとしてのステイタスが高い。それを主催者であるフランス西部自動車クラブ(ACO)が自負していて今回のような急遽BoP変更をWECに挙行させた。過去においても世界のモータースポーツを統括している国際自動車連盟(FIA)とACOは何度となく対立している。その都度、【ル・マンが抜けた時のWECを考えてみたら】というように強気な態度を崩さずに来ている。WECのためにル・マンがあるのではなくてACOにとってはル・マンのためにWECがあるという固い、固い信念がこの100年変わらなかったのでしょうね。
50年ぶりにワークスがル・マンに復帰してきたフェラーリの優勝は、歴史に名を刻んだ。おめでとうございます。そして、不利な戦いに挑み、そして、1分21秒793差でゴールしたトヨタの偉大なる2位を讃えたい。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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