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桜の花が特別にデザインされたTGR・GR010。
プロトタイプカーとGTマシン、3つのクラスの混走によるFIA世界耐久選手権(WEC)の2023年シーズン第4戦「ル・マン24時間」が、6月 7〜11日にフランスのル・マン、サルト・サーキットにおいて開催される。その決勝の模様はJ SPORTSで生中継、J SPORTSオンデマンドでも予選からLIVE配信する。
全7戦で争われる2023年WECの第4戦はいよいよ伝統のル・マン24時間。しかも今年は記念すべき100回大会となり、お祭りムードも高まっており、観戦チケットは既に完売という。WECシリーズの中でも特別な大会ということもあり、WECレギュラーチーム以外にも各クラスに今回のみの参戦があり、4つのクラスに合計62台の車両がエントリーしている。トヨタGazoo Racing(TGR)は2018年の初優勝から昨年まで5連勝を飾っており、今年の大会を制覇すればフェラーリの6連勝(1960〜65)に並び、ポルシェの7連勝(1981〜87)記録に迫ることとなる。
サルト・サーキットは、パーマネントサーキットと一般公道を組み合わせた1周13.626kmにも及ぶほぼフラットなコース。グランドスタンドやピットビルのあるスタート/フィニッシュラインからダンロップシケインを過ぎると、共用するブガッティ・サーキットから外れテルトル・ルージュから公道へ。かつては6kmにも及ぶストレートだったユノディエールは、現在は2つのシケインで3本のストレートに区分された。ユノディエールの南端のミュルサンヌで右やや手前に折れると、森の中を走りインディアナポリスで左へ直角ターン。すぐに右ターンのアルナージュを過ぎてポルシェカーブ手前で公道から外れ再びパーマネントコースへ戻る。
今回ハイパーカークラスにはポルシェが4台、フェラーリとキャデラックが各3台、TGR、フェラーリ、そしてグリッケンハウスが各2台、バンウォールが1台の計16台がエントリー。大会直前の5月末になって性能調整が発表され、TGRは+37kg、フェラーリは+24kg、キャデラックは+11kg、ポルシェは+3kgとなった。
大会直前となる6月4日に行われたテストデー(計6時間)では、51号車AFコルセのフェラーリが3分29秒504のトップタイムをマークし、これに6号車ペンスキーのポルシェ、7号車TGRが僅差で続いた。TGR・GR010の車体には日本を象徴する桜の花が今回特別にあしらわれているが、6連覇にかける思いが伝わって来る。
公開車検には多くのファンが詰めかけた。
オレカ・ギブソンというワンメイク状態のLM P2クラスは、今回13台が追加エントリーとなり計24台という大激戦クラスとなった。しかし追加の13台のうち9台はPro/Amなので、上位争いはWECレギュラーが中心となるだろう。ポイントリーダーの22号車ユナイテッド・オートスポーツと2戦連続表彰台で実質シリーズ3位の23号車ユナイテッド・オートスポーツ、シリーズ2位の41号車チームWRT、そして63号車プレマ・レーシングあたりがレースを支配しそうだ。
LM GTE Amクラスは6台追加の計21台で、内訳はポルシェ8台、フェラーリ7台、アストンマーティン5台に、コルベット1台。2勝と2位1回でポイントリーダー独走中の33号車コルベットがル・マンでも強さを見せつけるか? 前回そのコルベットの連勝を止めたシリーズ2位の83号車フェラーリ、表彰台こそないものの着実にポイントを重ねる同3位の21号車フェラーリ、77号車ポルシェあたりが上位争いを展開か?
日本人ドライバーが加わる車両としては、木村武史がAドライバーとしてドライブする57号車ケッセル・レーシングのフェラーリ、ケイ・コッツォリーノ、ポノス代表の辻子依旦、横溝直輝がトリオを組む74号車ケッセル・レーシングのフェラーリ、そして星野敏、キャスター・スティーブンソン、藤井誠暢が組む日本チームである777号車D’stationレーシングのアストンマーティンには活躍を期待したいもの。
さらにル・マン24時間らしく、”ガレージ56”からはNASCARのシボレー・カマロZL1が参戦。ドライバーはジミー・ジョンソン、マイク・ロッケンフェラー、ジェンソン・バトンと超豪華なので、こちらも要チェックだ。
7日は公式練習が2本と公式予選、8日は公式練習2本とハイパーカー、LM P2、LM GTE Am各クラスのトップ8が参加してハイパーポールが1時間行われ、決勝のグリッドが決定する。そして10日の16時に決勝レースがスタートとなる。
文:皆越 和也
皆越 和也
1961年熊本県出身。1980年代後半に富士スピードウェイで観戦した「WEC in JAPAN」で四輪モータースポーツに目覚め、モータースポーツ専門誌編集部等を経てフリーランスのフォトライターに。SUPER GTは全日本GT選手権がスタートした1993年より、ほとんどのレースを現場で取材している。
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