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モーター スポーツ コラム 2023年5月25日

いつも笑顔のマサトモさん

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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走る歯科医として活躍した清水正智さん

マサトモさんが逝去された。
5月20日に清水正智さんが亡くなられたという訃報が週明けに届いた。
往年のレースファンにとっては、鮮やかピンク色のレーシングマシンで疾走する氏のことが思いだされるでしょう。その鮮やかなピンクカラーは、健康な歯茎の色。そう、マサトモさんは、歯科医でもあるのでした。トライデントシュガーレスガムが氏のスポンサーであった。日本のモータースポーツ黎明期、学生時代にレースデビューし国内トップフォーミュラのF2、F3000に参戦。富士グランチャンピオン(GC)シリーズや80年代にはグループCカーのステアリングを握った。

本業は、歯科医なのだからプロフェッショナル・レーシングドライバーではなくて、ジェントルマンドライバーということになる。マサトモさんと同じ歯科医でスポーツカーのステアリングを握り、耐久レースに出場して成績を残しているドライバーは他にも居たけれど、国内トップフォーミュラや富士GCにレギュラーとして参戦していたのは氏だけだった。GCシリーズでは、マルチクラッシュに巻き込まれて大怪我を負ったけれど、回復後はレースに復帰した。

1991年JSPC第2戦富士1000km

マサトモさんのピットへ取材に行くと、いつも笑顔で迎えてくれた。
「ジローさん、何かの飲まない?」
「ありがとうございます、いただきます」
「水で良い?」
「ハイ」
手渡された小さめの白い紙コップ。ゴクリと飲み干してお礼を申し上げると、マサトモさんが、さっきよりも満面の笑顔。
「ジローさん。そのコップよく見てごらん」
コップの裏側にサインペンで液量メモリと【尿検査】と書いてあった。
「ひっかかった、ひっかかった」と少年のような笑顔が輝いた。
ちゃめっ気があって、ジョーク好き。時間をおき、再びマサトモさんのピットを訪れると机にさっきの紙コップがいくつか置かれていて、その一つにボクの名前が。その他のコップにジャーナリストの名前やドライバーの名前が・・・。机の横では笑顔のマサトモさん。

訃報に際してそんなシーンが頭をよぎった。モータースポーツが大好き、愛していた。そして国内のトップシリーズにチャレンジを続けたジェントルマンドライバーのレジェンド。

レジェンド レーシング ドライバー クラブの会員でり、毎年のイヤーエンドパーティーでお会いし、挨拶すると変わらない笑顔を返していただいた。

近年は、体調が優れないとお聞きしていたが、享年75歳とは、早いお別れだ。ご冥福をお祈りします。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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