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モーター スポーツ コラム 2023年4月20日

バウティスタの快進撃は続くか? | FIM スーパーバイク世界選手権2023 第3戦 アッセン

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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FIM スーパーバイク世界選手権2023

FIM スーパーバイク世界選手権2023

市販スポーツバイクレースの最高峰「FIMスーパーバイク世界選手権」は約1ヶ月半のインターバルを経て、第3戦がオランダのTTサーキット・アッセンで開催されます。ここから秋の第11戦ポルトガルまでヨーロッパを転戦するレースが始まります。今季も「FIMスーパーバイク世界選手権(WSBK)」を放送中のJ SPORTSでお楽しみください。今回は4月21日(金)〜23日(日)にオランダのアッセンで開催される第3戦のレースプレビューをお届けしましょう。

バイクレースの聖地の一つ、TTサーキット・アッセン。MotoGPオランダグランプリを1949年に初開催し、グランプリレースでは「ダッチTT」として欠かせない開催地となっています。元々は市街地コースとして始まり、何度かのコース改修を経て2010年からは約4.5kmのコースになっていますが、名勝負の舞台として知られています。

グランプリだけでなくアッセンはWSBKでも様々なドラマを産んできました。変わりやすいオランダの天気は「ダッチウェザー」と呼ばれ、決して好調ではなかったライダーがウェットコンディションを味方につけ予想以上の好成績を残すこともしばしば。

特にオランダ出身のマイケル・ファンデルマーク(BMW)は母国でのレースに大きな期待を寄せていることでしょう。昨年、怪我でシーズンの大半を欠場し、復帰シーズンとなっている今季は特に地元で奇跡を起こしたいに違いありません。ファンデルマークはアッセンで過去に7度の表彰台を獲得。ホンダからデビューした2015年の初表彰台も母国オランダのアッセンでした。

彼が乗るBMWは昨年の快進撃とは裏腹に低迷中。ファンデルマークの最高位は6位となかなか渋い結果になってしまっている現状を何とか変えたいことでしょう。自分自身もかつてのような速さを取り戻したいはずです。

ところで、アッセンを最も得意とするライダーは誰でしょうか?それは間違いなくジョナサン・レイ(カワサキ)です。WSBKに2009年にデビューして以降、アッセンで1度も勝てなかったのは僅かに3シーズンだけ。アッセンで表彰台に一度も乗れなかったのはデビュー年の2009年だけという表彰台常連ライダーなのです。

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【ハイライト】FIM スーパーバイク世界選手権2023 第2戦 決勝 全3レース マンダリカ(インドネシア)

しかし、そんなレイが今季は大苦戦中。開幕戦オーストラリアのレース1で2位表彰台に登ってから、それ以来5レースに渡って表彰台に登れていないという、かつてないシーズンの立ち上がりになっているのです。レイにとってもアッセンは形成逆転のキッカケを掴みたいレースと言えるでしょう。

さて、そんな苦戦するライダー達をよそに独走街道を突き進んでいるのがアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)です。今季は第2戦・オーストラリアのスーパーポールレースでトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)に勝利を譲った以外は全て優勝。チャンピオンシップもラズガットリオグルに37点差の大量リードを築いています。

バウティスタはドゥカティで2019年に2勝、2022年に1勝をマーク。グランプリ時代には250ccでポールトゥウインの経験があります。今季の最強マシン、ドゥカティ・パニガーレV4Rの強みを活かしてこのまま勝利を重ねるのか、それともアッセンを得意とするレイに翻弄されるのか注目です。

また、シーズン立ち上がりはスロースターターであることが定着している2021年王者のトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)はアッセンでの優勝経験はなし。ただ、昨年はポールポジションを獲得しています。ラズガットリオグルは先日、MotoGPのテストにも参加。スーパーバイク世界選手権で自身のキャリアを築き上げていくと語っていたラズガットリオグルは2024年以降のMotoGP転向に興味を示しているとされ、ストーブリーグが早くも動き出しそうです。

昨年はアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)、ジョナサン・レイ(カワサキ)、トプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)の三つ巴となったチャンピオン争いは開幕2戦を見る限りではドゥカティとヤマハが優勢。ただ、まだシーズンは始まったばかり。これからシーズンが本格化するヨーロッパラウンドでどのメーカーが良い流れを掴むのか見守っていきましょう。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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