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岡山国際サーキットで開催されたSUPER GT公式テスト。
国内で最も人気のあるレースとして知られるSUPER GT。その2023シーズン開幕前恒例となっている公式テストが始まっている。早速、3月11日・12日には岡山国際サーキットで1回目の公式テストが行われ、GT500/GT300の全車が揃う最初の機会となった。
例年、開幕前の岡山公式テストは厳しい寒さに見舞われることが多く、なかなか思うようなテストができないチームも多かったが、今回は2日間とも好転に恵まれ、特に初日に関しては日中半袖で過ごしても大丈夫なほどの陽気となった。
そんななかで、各チームともショートランやロングランをやっていたのだが、どうしても気になるのは今季の勢力図。実際のところはシーズンが始まってみないと分からないが、GT500クラスで印象的だったのは、ホンダ勢が速かったことだ。テスト初日ではNo.16 ARTA MUGEN NSX-GTが午前、午後ともにトップタイムを記録。そのほかのホンダ勢もトップ10圏内につけるなど、他メーカーと比べても、アベレージのタイムが速そうな印象だった。
No.16 ARTA MUGEN NSX-GT
昨年からタイプS仕様に切り替えられたNSX-GTだが、新しいパッケージに対する理解度が深まってきている模様。その辺に関しては、ホンダの佐伯昌浩ラージプロジェクトリーダーを含め、手応えを掴んでいる様子だった。
例年、冬場のテストはホンダ勢が速いと言われており、開幕して気候が変わった時に勢力図も変わってくるということは過去にもあった。今年も2月から3月にかけてのメーカーテストでは異次元の速さをみせていたホンダ勢だが、シーズン開幕と同じようなコンディションとなった岡山テストでも上位を占めたことに、ライバル陣営も危機感を強めていた。
「今回の結果だけを見てもそうですし、2月のテストを含めて他メーカーさんの方が少し速い状況が続いているので、GRスープラ勢全体ではちょっと苦戦気味なのかなと思っています。危機感をもってなんとかしないと、開幕したらおいていかれてしまう。そこはチームとメーカーとともに良くしていきたいです」(au TOM'S' GR Supra 坪井翔)
新カラーリングが注目を集めたNo.36 au TOM'S' GR Supra
「今年のホンダはどのコンディションでも、安定して速いと感じている。冬は当然速かったし、暖かくなった今回もホンダ勢がリザルトの上位を占めていた。彼は手強いなという印象だ」(MARELLI IMPUL Z ベルトラン・バゲット)
その一方で、いつもシーズン前は慎重なコメントが多いSTANLEY NSX-GTの山本尚貴からは、このようなコメントが聞こえてきた。
「メーカーテストから、調子は良さそうではありましたが、ようやく3メーカーが全車揃って走ったなかで、全体の図式や序列は(冬と比べて)あまり変わっていないのかなと思いました。ホンダ陣営の中で調子の良い悪いは多少あったとしても、メーカー間で言うと、ホンダとしては良い仕上がりになってきているのかなと思います」
とはいえ、ホンダ勢のなかでも「周りが何をやっているか分からないから、正直怖い」「タイムで見れば上位にいるけど、まだやらないといけないことがある」という声が聞こえてきていることは確か。何度も繰り返すが、全体の勢力図をシーズン前に予想するのは毎年難しいが、ホンダ勢がわずかにリードしていることは間違いなさそうだ。
そんな中で、今週末の3月25日・26日に富士スピードウェイで開催される2回目の公式テスト。天気予報ではあいにくの雨となっているのだが、今回は“ウエットコンディションでのテスト”だからこその見どころがある。
雨といえば、ミシュランタイヤが新開発し、GT500クラスに投入されている新ウエットタイヤの性能が抜群に良いというのは、昨年の話題にもなった。特に第6戦SUGOでの快進撃は見事なものがあったのだが、それに惨敗を喫する形となった他のタイヤメーカーが、ミシュランに対抗するべく新しいウエットタイヤのテストしている模様なのだ。
昨シーズンの第6戦SUGOではミュシュランタイヤの性能が他社を圧倒した。
岡山テストでは2日間ともドライコンディションだったため、それを試す機会はなかったのだが、今回は降水確率をみても、ウエットコンディションのタイミングは確実にありそう。そうするとセッション中に、試作段階中のタイヤを履く機会も出てきそうだ。
今では各メーカーのマシン、エンジンの仕上がりはもちろん、タイヤのパフォーマンスも勝敗を左右する重要な要素となっている。シーズン開幕前のこのタイミングは、新しいものを試すチャンスにもなっているため、いつもと違う視点でテストをチェックしてみると、面白いかもしれない。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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