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モンテカルロは気象の読みとタイヤ選択が勝負の鍵を握る。
明けましておめでとうございます。本年もこのコラム継続します。
WRC創設から51年目に入る2023年の始まりです。
例年よりかなり押し迫って2023年のカレンダーが発表になりました。
概略は次のとおりです。
・昨シーズンと同様、モンテカルロで開幕し、ラリージャパンで閉幕する全13戦。
・昨シーズン開催されたイープル(ベルギー)、ニュージーランド、カタルニア(スペイン)はカレンダーから削除。
・上記の代替イベントとして2019年以来の開催となるチリ、2020年以来のメキシコが加えられ、更にドイツ、オーストリア、チェコの3国にまたがるセントラルラリーが開催される。このラリーはドイツ南部のバイエルン州パッサウが拠点となりチェコのプラハがスタート地点。長年ラリースポーツに貢献しているシュコダにとって母国(チェコ)開催は朗報。
R1グループの3メーカー、トヨタ、ヒョンデ、フォードのドライバー陣営が決まりました。
<トヨタ>
若干21歳で2022年チャンピオンとなったロバンペラ、エヴァンス、に加え勝田貴元がマニュファクチャーチームに昇格し、3台目をオジェとシェアします。勝田は、オジェが出場するイベントでは昨年のように第2チーム扱いとなり全戦出場となります。ラッピはヒョンデに移籍しました。
ラリージャパンでは3位表彰台を獲得した勝田貴元。
<ヒョンデ>
エースドライバーのタナクがフォードに移籍し、体制は大きく変わりました。ヌーヴィル、ラッピに加え3台目はソルドとフォードから移籍のブリーンがシェアします。今回のモンテはソルドがドライブします。
<フォード>
タナクの加入により戦力大幅アップ。ほかにフランスの若手ルーベとギリシャのセルデリディスの3台体制。
M-スポーツに電撃移籍したタナク。
ここ数年チャンピオンシップ争いはトヨタとヒョンデの一騎打ちの様相でしたが、タナクのフォード参入で三つ巴の戦いになることを期待しましょう。
さて、モンテカルロラリーは1911年以来120年もの歴史を持つイベントです。ヨーロッパのみならず北アフリカの都市を出発点としてモナコに集結するコンセントレーション・ランで始まるスケールの大きいイベントでした。現在は統一規則によりどのラリーも同じようなスケールになっています。冬のアルプスの降雪、氷結それにドライアスファルトが入り込んだ複雑な状況は予想がつきません。今回はコースの半分位が新コースで、サービスパークは昨年に引き続きギャップでなくモナコです。競技日程は標準型から少し異なる4日制です。木曜日はモンテカルロの背中にそびえる4個の峠を通過するコース。金曜日はモナコ西北のアルプマリティーム県、土曜日は更に西部のオートプロヴァンス県、最終日は初日とほぼ同じエリアで競技が終了します。
モンテは気象の読みとタイヤ勝負です。これだけは直前にならないと分らないうえ全行程中間サービスが設けられていません。燃料とタイヤポイントのみで1日走ることが要求されます。
ラリースケジュールは下記のとおりです。
SS本数 | SS km | Liaison km | Total km | |
---|---|---|---|---|
Day1 (1/19) | 2 | 40.02 km | 112.14 km | 152.16 km |
Day2 (1/20) | 6 | 105.34 km | 354.34 km | 459.68 km |
Day3 (1/21) | 6 | 111.78 km | 575.45 km | 687.23 km |
Day4(1/22) | 4 | 67.88 km | 167.84 km | 235.72 km |
Total | 18 | 325.02 km | 1209.77 km | 1534.79 km |
モンテ優勝回数はセバスチャン・ローブとセバスチャン・オジェ共に8回です。この二人がモンテだけ出場に拘るのはわかります。昨年はローブが優勝でしたが今年は出場しません。ローブは現在サウジアラビアで開催中のダカールで活躍中です。
<ミニヒストリー、30年前のモンテ>
30年前、1993年のモンテはエントリー170台。走行距離3086km、SS距離594km、SS本数 22本と言うスケールでした。車両規定はグループA,Nの時代でした。出場するクルマも多彩でセリカ、エスコート、ランサー、オペル・アストラなど。トヨタのオリオールとエスコートのデルクールが最後まで激走し15秒差でオリオールが逃げ切りました。
当時のポイントシステムはメーカーポイントが12-10-8…、ドライバーが20-15-12-10…となっておりシリーズ全13戦中ベスト8カウントでした。今のように全戦参加義務付けがなかったので8戦で充分高得点を挙げたメーカーは残りを欠席することがありました。
文:福井敏雄
福井 敏雄
1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。
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