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いよいよ2022シーズンの最終戦を迎えるSUPER GT
いよいよ今週末の最終戦でGT500・GT300ともにシリーズチャンピオンが決まる2022年のSUPER GT。今年は両クラスともにランキング1位と2位の差が2.5ポイントと、非常に接近した状態となっている。
そんな中で迎える最終大会。過去を振り返ると、特にGT500クラスでは“まさかの結末”で王座が決まっており、今でも多くのファンや関係者の記憶に残っているシーンになっていると思う。
昨年は、STANLEY NSX-GTの山本尚貴が、シーズンを通して安定した戦いぶりをみせ、2年連続となるGT500チャンピオンに王手をかけていた。富士スピードウェイを舞台にノーウェイト勝負となった最終戦ではトヨタGRスープラ勢が上位を占める展開となったが、開幕戦の欠場に伴いドライバーズタイトルでは王座獲得の権利を失っていた牧野任祐が、しっかりと前半スティントを走りきり、山本にバトンタッチ。終盤に入っても4番手を死守し、ゴールの瞬間に向かっていた。
ところが、残り15周というところでGT300クラスのARTA NSX GT3(佐藤蓮)に接触されてしまい、サスペンション周りにダメージを受けた。緊急ピットインで修復を済ませた1号車の山本は諦めずにコースに復帰したが、この時点でポイント圏外に後退しており、連覇の可能性は潰えた。
これにより、トップを走行していたau TOM’S GR Supta(関口雄飛/坪井翔)が、16ポイント差をひっくり返す逆転劇で、同年のシリーズチャンピオンに輝いた。
16ポイント差を逆転し2021年王者となったau TOM’S GR Supta。
その1年前、2020年も大きなドラマが生まれた。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、スケジュールは大幅に変更。約3ヶ月遅れでの開幕となった他、感染防止対策のため、序盤の4戦は無観客でレースが行われた。
そんな異例とも言えるシーズンとなったが、史上稀に見るほどの大激戦となり、最終戦の開幕時には合計10台がチャンピオン獲得の可能性を残していた。その中で、予選から速さをみせ、ライバルを一歩リードしたのがKeePer TOM’S GR Supra。当初は平川亮/ニック・キャシディのコンビだったが、翌シーズンからのフォーミュラE参戦に伴う準備のため、キャシディは終盤2戦を欠場。当時WECに参戦していた山下健太が代役を務めた。
レース後半に入っても、37号車の大量リードは続いたのだが、そこに待ったをかけたのが、RAYBRIG NSX-GTの山本尚貴。1周1秒近いペースで追いついていき、残り6周のところで背後に接近。前でチェッカーを受けた方がチャンピオンという、最終戦の最終盤で目が離せないバトルが繰り広げられた。
山本のプレッシャーを受けながらも、なんとかトップを守り切った平川。最終ラップの最終コーナーを立ち上がり、誰もが「2020年のGT500チャンピオンは平川だ」と確信した瞬間……信じられない光景が飛び込んできた。
ガス欠に伴い、37号車は加速せず、ゴールまで400~500mというところで、100号車が逆転。文字通り先にチェッカーを受け、大逆転でのシリーズチャンピオンを決めた。
2020年の最終戦では歴史に残るチェッカー目前での転劇が繰り広げられた。
こうして、直近2シーズンともに、誰もが予想していなかった結末で、チャンピオン決定の瞬間を迎えている。そんななかで迎える今季の王座争いだが、数字上では6台がチャンピオンの可能性を残している。
シーズン序盤からライバルを上回る速さをみせてきた日産の新型Zがランキング上位を独占。第2戦富士での大クラッシュから見事な復活を果たしたNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)が58ポイントで首位につける。それを2.5ポイント差で追いかけるのが、第5戦鈴鹿で“テール・トゥ・ウィン”という大逆転劇を果たしたNo.12 カルソニック IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バケット)が2番手で続いている。
当初は、この2台による一騎打ちかと思われたが、第7戦オートポリスで今季初優勝を飾ったNo.17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)が、トップから4ポイント差の3番手。この3台が自力でのチャンピオン獲得の権利を有している。
そのほかに、17ポイント差でNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)、20ポイント差でNo.37 KeePer TOM’S GR Supra(サッシャ・フェネストラズ/宮田莉朋)とNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)がつけている。
今年はどんなドラマが待っているのか……。多分、最後の最後までもつれ合う王座決定戦となることは間違いないだろう。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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