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モーター スポーツ コラム 2022年10月18日

平手晃平選手(No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z)「積み重ねてきたものが結果として表れたという意味で、すごく手応えを感じる」 | SUPER GT第7戦

SUPER GT あの瞬間 by 島村 元子
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No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木大樹 / 平手晃平

No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z 佐々木大樹 / 平手晃平

レースでの出来事をドライバー自身に振り返ってもらう「SUPER GT あの瞬間」。レースでの秘話、ドライバーのホンネを“深掘り”し、映像とコラムでお届けします!

SUPER GTのレース展開で気になるもの。そのひとつに、各車が装着するタイヤがある。突如として変化する天候や路面状況に対してフィットするタイヤがあれば、それが武器となり、瞬く間に戦闘力アップへと繋がる。今シーズン、チーム移籍をしてNo.24 リアライズコーポレーション ADVAN Zを駆る平手晃平は、チームとともにタイヤ開発を重ね、オートポリスで今季2回目の表彰台に立つ活躍を見せている。

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──今シーズン初となるポールポジションからスタートし、レースでは今シーズン2回目の3位フィニッシュ。改めてレースを振り返ってください。

平手晃平:オフシーズンからずっとヨコハマタイヤとマシンのテストを続け、またレースをすることで、確実にドライタイヤのレベルアップを感じていました。シーズンを追うごとに結果としてしっかりと表れてきて、夏の富士(第4戦)で今シーズン初めて3位表彰台に上がりました。ステップ・バイ・ステップでクルマやタイヤの開発が進む一方、オートポリスでは今年の主力にしているタイヤ自体が初導入だったので、実際どれぐらいのパフォーマンスがあるのか、僕らも未知数だったんです。ただ実績的には富士でも走ってるし、鈴鹿(第5戦)でもあの暑いコンディションのなかで耐えたタイヤだったので、かなり期待はしていました。でも年に1回しか走らないサーキットなので、最初は路面のコンディションが悪くて、自分たちが思うような結果が出なくて。正直、どうなるかなっていう不安がありました。最終的には3位表彰台っていう形で結果には繋げられたんですけど、またしても戦略で負けてしまった部分があったので、悔しさは残ります。でも、チームとヨコハマさんで一緒に積み重ねてきたものが結果として表れたという意味では、すごく手応えを感じていますね。

──ノックアウト予選では、平手選手がQ1を担当しました。この理由を教えてください。

平手:僕がQ2を担当することはレースウィーク入る前に決まっていたので、まず僕が朝のフリー走行(公式練習)を走り出して、タイヤを2種類消化し、(佐々木)大樹に代わりました。大樹はロングランのあと、10分間の(GT500クラス)専有走行でニュータイヤでアタックして、その流れでQ1(を担当する)っていう形だったんです。ところが、アステモ(No.17 Astemo NSX−GT)が(専有走行で)クラッシュして赤旗が出ちゃったんで、大樹がニュータイヤでのアタックができなくて。そのままQ1っていうのは、ちょっと難しいかも……ということになり、急きょ“代打”で僕がQ1へ行きました。

──24号車には「Q2は平手選手」というイメージがあるのですが、Q1を担当する場合、普段と違う緊張感はありますか?

平手:今シーズン、初めてQ1を担当したわけじゃないですよ。前回の(第6戦)SUGOであったり、第3戦の鈴鹿でもQ1を担当しています。第3戦も同じように、10分間(専有走行)で(佐々木が)フィーリングを確かめられなかったんで、急きょ僕が任されたんですが、そこでもちょっとうまくいかなくて……。で、SUGOは逆に僕がQ1やりますって決めたのに、ちょっとまとめきれなかった。大役を任されてたんですけど、間が悪かったりしてうまく(Q2に)繋げられなかったので、オートポリスのQ1は……結構緊張しましたね。

──無事にQ1を突破、Q2では佐々木選手がポールポジションを獲ったので、チームの喜びは大きかったと思います。近藤真彦監督からはどのようなコメントがありましたか?

平手:僕がしっかりとQ1をパスしてQ2に繋ぐことができたので、近藤監督からは「やればできんじゃん!」と言われました(笑)。(トップとの)タイムも結構僅差だったので、逆に大樹に対してもクルマとタイヤの状態がいいってことを証明できたので、すごくいいアタックになったと思います。監督も、大樹に「思いっきり行ってこいよ」みたいな感じでした。ここで変に置きに行って(守って)もしょうがないから、もうとにかくフルアタックしろ!みたいな感じで、たぶん大樹にゲキを飛ばしてたんじゃないかなって思います。

──平手選手自身、ヨコハマタイヤの開発は今年一年目ですが、これまでGT500クラスに参戦する全タイヤメーカーを経験されていますよね!?

平手:まぁ自分で選んだわけではないんですけど、そういう巡り合わせで(笑)。ダンロップ(2009年~)から始まって、ブリヂストン(2011年~)、ミシュラン(2019年~)、ヨコハマ(2022年~)と各メーカーを経験していることもあり、今シーズンはそういう意味も含め、「君のスキルでヨコハマの開発をさらに進めてほしい」という日産陣営の思いがあっての移籍だったので。今、フルにフィードバックをして、ヨコハマタイヤさんと一緒に開発してる感じですね。

No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z

No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z

──今シーズンから投入されたNissan Zも、タイヤ開発のフィードバックに活かされているのでしょうか? また、その積み重ねが今回のポールポジション獲得に繋がったと思いますか?

平手:技術的なことはアレ(秘密)なんですけども(笑)、昨シーズンまでのGT−Rと比べるとやっぱりZは空力がすごく安定していて、コーナーに入ったときにマイルドな感じでずっと安定しているので、ヨコハマタイヤとその辺がすごくマッチしていると感じますね。鈴鹿は特にオートポリスと似てる感じだと思うんですけど、ハイスピードが続くようなコーナーがあったりとかそういったところでの空力バランス、またZとサーキットの相性もそうですが、タイヤとのマッチングも鈴鹿と同じぐらいピタッと合ってると感じていました。レースウィークに入る前から、“オートポリスはそこそこ走れるだろうな、そこそこ上に行けるだろうな”っていう感触もありました。

──レース中、24号車のルーティンワークは27周終わり。逆に、うしろを走っていた100号車(STANLEY NSX−GT)、17号車(Astemo NSX−GT)に対して少し遅らせる形を採りました。この理由は?

平手:当然ミニマム(最低周回数に当たる22周過ぎ)付近で周りが動くだろうと想定できていたんですが、僕らとしてもタイヤ自体がオートポリスで投入するのが初めてだったので、ミニマムで入って(残りを)走り切れるかどうかっていう要素的なものが、まだ僕らの手の中になかったっていうのも正直ありました。周りが動いて、その翌周や翌々周に入ったところで、やっぱり40周以上は後半のスティント走らなきゃいけない。タイヤがバーストしてしまったり壊れてしまう可能性もゼロではないというところもあったし、大樹のラップタイムもそんなに悪くなかった。むしろ、(ピットインを)引っ張ってる……というか、ピットに入ってない中ではかなりいい方にいたので、このままもう少し周回数を伸ばして後半に繋げられればという考えと、タイヤの不確定要素の部分があったので、おそらくチームも早く(ピットに)入れるっていうことを躊躇してしまったがために、(タイミングが)遅れてしまったんじゃないかなと。村田(卓児エンジニア)さんも「どうする?」ってピットに入るタイミングを悩んでたんですけど、僕もモニターで大樹のラップタイムを見て、「もう少し様子を見てもいいけど、周りが動いたらやっぱり動かざるを得ないよね」くらいな感じでコメントはしてたんですが……。判断的にチーム側が「もうちょっと、もうちょっと」って言ってる中で周りが動き始めて、「どうしよう、どうしよう」……っていう感じになって、さらに遅れてしまったみたいな感じでした。

──とはいえ、コース復帰後は100号車・山本尚貴選手との攻防戦は、見どころがありました。逆転を目指し、どんなシナリオを描いていましたか?

平手:ピット出たタイミングで17号車と100号車に先行されたのはもう目視できていました。彼らは数周前にピットに入っているので、タイヤ的には僕の方がフレッシュ。前半(スティントの佐々木)のペースを見ても速かったし、(自分も)追い越すところまで行けるだろうと思ってたので、アウトラップからプッシュして先を行く山本選手をまずパスして、17号車まで行けたらな、と思って走っていました。ラップタイムを見てると17号車がちょっとペース遅くて、途中100号車と24号車が結構近づいたタイミングで100号車を抜き切っていれば、17号車までたぶん届いただろうなと思うんですけど……。山本選手のうまいブロックに阻まれてなかなか突破口を見出だせないというか、何回か仕掛けたんですけど、やっぱり彼もうまくて(苦笑)。なかなかパスすることはできなかったので、悔しかったですね。ピットで遅れたものをなんとか自分で取り返せたらなと思ってたんですけど、攻略するのに手を焼きましたね。

──山本選手とのバトルですが、実際どのような駆け引きがあったのでしょうか?

平手:ホンダ勢のエンジンの特性上、最終コーナーを立ち上がると僕らはちょっと離されてしまうんです。逆に、Zは富士でも速さ見せてるように、ストレートエンドに向けてすスリップに入ってすごくエンジンが伸びていくので、僕としてはもう少し最終コーナーを引っ付いて立ち上がってこられたら、もっと早い段階で横に並べる状態に持っていけたかなと思います。そこを山本選手も(バック)ミラーで見ながら、最終コーナーで少し(24号車と)離れるので“1コーナーでイン側を差されないように”、“とにかくイン側を開けないように”と、僕の行き先を阻んでいたはず。一度、1コーナーで並びかけたとき、僕はアウト側にクルマを振ってレイトブレーキングでターンインしていこうと思ったんですけど、山本選手のクルマはやっぱり曲がってなくて、アンダーステアが強く出てたんです。仮に外からまくろうとして前に出たところで、彼が曲がり切れずにたぶん当たってしまうっていうのも想定できたので、“アウトから並んでコーナーを立ち上がるのはやめた方がいいな”って。一瞬並びかけて、ターンインしてったんですけど、“このまま来たらたぶん山本選手が曲がり切れなくて、僕を押し出すだろうな”、“すごいリスクがあるな”と思ったんで、そこで一歩引いて立ち上がりでクロス(ラインを)掛けようと思ったりもしました。そういうのを何周かやってると、“ここまで防げば、たぶん(その先も)防げるだろう”っていうのが、山本選手の中で分かってきて、そこをうまく押さえ込められちゃったなって思います。

本当は一発で抜けたらよかったんですけど、(GT)300との兼ね合いもあるのですごい難しいんですよ。彼の中では、僕のノーズをイン側に入れさせないっていうのを徹底的にやってただろうし、僕は逆にそこをねじ込みたかったけど……要はブロックされたっていうところがあって。もう少しリスクを負って接触覚悟でいけば、なんとかこじ開けれたかなと思うんですけど、それで相手を回してしまったら自分もペナルティになってしまうので、行き切れなかったというか、かなりリスクを追わなきゃいけなかったシーンだったので、“いっぱいいっぱい”だったかなっていう感じですかね。(山本のタイヤが)フロントもリヤも結構ズルズルの状態なのは、うしろから見てて分かってました。だから、1コーナーで僕はどうしてもイン側にねじ込みたかった。ただ、そのイン側を彼はねじ込ませないように、うまくブロッキングしてたんで、“くそ~っ”て感じでしたね(笑)。

No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z

No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z

──とは言え、コース上でのバトルは、 チームの士気やモチベーションアップという意味でも、価値あるパフォーマンスだったと思います。最終戦に弾みがつきましたね。

平手:今シーズン、優勝争いするようになってチームもほんと士気が高くなってます。去年まででは考えられない位置で、KONDO RACING、ヨコハマタイヤが戦えてるので、最後にひとつレースが残ってますけど、そこではもう絶対勝ちに行くぞみたいな……今、そういう感じでチームの雰囲気はすごくいいです。一方で、表彰台に乗ったふたつのレースで言えるのは、チームとして間違いなく戦略面で負けたところがあったということ。そこをもう一度見直さないと。スタートする位置にもよりますが、どの戦略を採れば確実に前に出られるかっていうところをもう少し話し合っていくべきだと思います。

もてぎはヨコハマタイヤさんがすごく相性が良くて、昨シーズン(の第7戦予選で)ポール(ポジション)と2位を獲っています。思ったよりも気温が下がらなければ、おそらくポール(ポジション)争いできると思います。去年は、ボール(ポジション)を獲ったところでウォームアップが苦しくて順位を落としてしまったのですが、そこは、今シーズンかなりウォームアップ性能がアップしたタイヤができているので、あとは戦略をもう少し練っていけば最終戦で勝てると思います。そのあたりを重点にやっていきたいですね。

──では最後に、「SUPER GT あの瞬間」恒例の質問。ここ24時間以内で感じた“ちょっと幸せなこと”を教えてください!

平手:今回、レースが終わって博多に行ったんですが、そこで新しいスポンサーさんが決まりそうだっていうのが、“プチハッピー”だったかな。人生初となる博多でおいしい水炊きも食べましたし、少しだけでも博多を満喫できたのもうれしかったですね。九州は熊本、大分は行ってますが、それ以外の県はまだなかったんです。初めて博多に行って、雰囲気を満喫しつつ美味しいものを食べて、来年はスポンサーも増えて……みたいな(笑)。そういう幸せがありました。

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【SUPER GT あの瞬間】SUPER GT 2022 第7戦:平手晃平選手(No.24 リアライズコーポレーション ADVAN Z)

文:島村元子

島村元子

島村 元子

日本モータースポーツ記者会所属、大阪府出身。モータースポーツとの出会いはオートバイレース。大学在籍中に自動車関係の広告代理店でアルバイトを始め、サンデーレースを取材したのが原点となり次第に活動の場を広げる。現在はSUPER GT、スーパーフォーミュラを中心に、ル・マン24時間レースでも現地取材を行う。

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