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【FIM スーパースポーツ世界選手権2022 第7戦 マニクール:プレビュー】300クラスでは岡谷雄太がランキング5位
モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシNo.7 ロレンツォ・バルダッサーリ(ヤマハ)
中型スポーツバイクの世界選手権レース「スーパースポーツ世界選手権」、そして日本人ライダーの岡谷雄太(カワサキ)が参戦する「スーパースポーツ300世界選手権」もいよいよ後半戦。9月9日(金)〜11日(日)にフランス、マニクールサーキットで開催される「スーパースポーツ世界選手権・第7戦」「スーパースポーツ300世界選手権・第6戦」のプレビューをお届けしましょう。
まずは「スーパースポーツ世界選手権」です。2021年王者のドミニク・エガーター(ヤマハ)が連勝を続けている状態でしたが、モスト(チェコ)で開催されたレースでエガーターは無得点に終わりました。2レース共に優勝したのはランキング2位のロレンツォ・バルダッサーリ(ヤマハ)で、両者のポイント差は一気に14点差に縮まり、バルダッサーリにも逆転の目が出てきました。
モスト(チェコ)のレース1でドミニク・エガーター(ヤマハ)は5台が絡むアクシデントで転倒。ドクターは脳震盪の疑いありとエガーターの診断を下したのですが、実はエガーターは症状を偽って伝えていたのです。翌日のレース2に出場するためにドクターにそのことを認め、レース出場は可能とドクターは診断したものの、FIMの審査委員会は彼の行為はスポーツマンシップに反すると判定し、レース2から除外されることになりました。
レースがやり直しになることを狙って赤旗を出させるようにそう振る舞ったのかもしれませんが、結局、自らの行為によって50点を失うことになってしまったエガーター。所属チームの「テンケイト」からはプレスリリースが出され、エガーターは自らの行為を謝罪しました。
チャンピオン争いは思わぬことでポイント差が開きましたが、今季のエガーターの勢いを考えれば、ロレンツォ・バルダッサーリ(ヤマハ)の逆転はそうそう簡単なことではないでしょう。しかし、バルダッサーリにとってはビッグチャンス到来という状況です。
モストではこんなことがありましたが、ドミニク・エガーター(ヤマハ)は今ノリノリです。というのも、並行して参戦する電動バイクの「MotoE」では初のチャンピオンを獲得しました。そして、ミサノで開催されたMotoGPテストではスズキGSX−RRに乗るチャンスを獲得。今季限りで撤退が決まっているスズキに乗ることが何を意味しているのかは分かりませんが、MotoGPマシンに乗った後のマニクールのレースではさらなる高い限界点でレースをすることになるでしょう。
来季はスーパーバイク世界選手権への参戦か、それともグランプリへの復帰か、その方向性を含めて注目が集まります。
そして、日本人ライダー、岡谷雄太が走る「スーパースポーツ300世界選手権」は今季からJ SPORTSが日本でも放送を開始し、日本のファンにも岡谷の存在がよく知られるようになりました。カワサキ・ニンジャ400で戦う岡谷雄太(カワサキ)は今季3度の表彰台を獲得してランキング5位につけています。
岡谷は8月7日に開催された鈴鹿8耐に「Kawasaki Plaza Racing Team」から参戦し、スーパーストッククラスでクラス優勝。普段のマシンの2.5倍の排気量を持ち、小柄なライダーにとっては苦労することが多い1000ccのカワサキZX−10Rを見事に乗りこなして見せました。
同じバイクレースとはいえども、軽量スポーツのスーパースポーツ300世界選手権と大排気量のスーパーバイクではライディングもレース内容も全く異なるものですから、レギュラー参戦するスーパースポーツ300世界選手権で8耐参戦の経験がどれだけ活きるかは分かりませんが、初めて経験した時速300km近いスピードレンジが後半戦のペースアップに繋がることを期待したいですね。
岡谷はマニクールで表彰台の経験はありませんが、すでに3年走ったコースだけに、もしこのコースで初の表彰台を得ることができれば、彼が目標とする来季以降のステップアップに大きな弾みとなるでしょう。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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