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モーター スポーツ コラム 2022年8月23日

SUPER GT第5戦プレビュー 今季2度目の鈴鹿大会、今季3度目の450kmレースに、何が起きる?

SUPER GT by 秦 直之
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今シーズン2度目の鈴鹿決戦を迎えるSUPER GT

前回の富士スピードウェイ同様、今季2回目の開催となる鈴鹿サーキット、そして決勝レースが2戦連続で450kmの戦いとなるSUPER GT第5戦。つまり、さまざまな要素が今年初めてではないレースではある。
通常、300kmでレースは争われるが、これより長い距離はたとえば、500kmであったり、300マイルであったりした。ただ、その際ピットストップにはドライバー交代を伴うとか、タイヤは必ず交換しなくてはならないといった、むしろ制約が多かったのが、現在の450kmレースにおいて義務づけられているのは、2回の給油だけ。

これが作戦に幅を持たせるのだな……というのが、前回明らかにもなった。2ピットのうち1回はタイヤ無交換であるとか、後半スティント2連続走行とか、極端な話GT300クラスでは、2チームが1周目にもうピットに入っていた。まぁ、この作戦は不発に終わったが。逆に積極策が裏目に出て、タイヤに負担がかかり過ぎ、後半にペースダウンを余儀なくされたチームもあり、当たり前だが450kmレースにおける、正解の戦い方はまだ明かされてはいない。
もしかしたら今回、近似値は出されるかもしれないし、また新たな戦い方が提示されるかも。面白いことになってきた!

前回、予選では見せたヨコハマ勢だったが…

3戦連続でPPを獲得したWedsSport ADVAN GR Supra

前回の富士における予選でのトピックスは、ヨコハマ勢の上位独占だ。国本雄資/阪口晴南組のWedsSport ADVAN GR Supraが3戦連続でポールポジションを獲得し、佐々木大樹/平手晃平組のリアライズコーポレーションADVAN Zが2番手につけていた。

「3戦連続」は偉業であったが、決勝ではスタートからペースが今ひとつ。WedsSport ADVAN GR Supraの国本は徐々に順位を落としていったのに対し、リアライズコーポレーションADVAN Zの平手は3周目からトップに立ち、そのまま佐々木にバトンタッチ。佐々木もまたトップをキープし続けていたが、2度目の平手への交代はやや時間を要した感も。

このピットストップを見て、次の周にピットに入ったKeePer TOM’S GR Supraはサッシャ・フェネストラズへの交代をあえて行わず、宮田莉朋の連続走行を敢行。素早いピットストップにも後押しされてトップに浮上すると、そのまま逃げ切って最年少コンビによる初優勝を飾ることとなった。2位は平峰一貴/ベルトラン・バゲット組のカルソニックIMPUL Zが獲得し、このチームもまた平峰が後半2ティントを連続で走行。リアライズコーポレーションADVAN Zは3位に甘んじたが、このコンビにとっては初めての表彰台獲得ともなっていた。

一方、WedsSport ADVAN GR Supraはポイント獲得こそ果たせたが、9位という結果に終わっている。この週末は温度が低く、決勝レースになってようやく路面温度が30度を越すという、時期的には例外的な条件ではあったが、予選から極端な温度差はなかったため、レンジを大きく外したとは考え難い。ドライバーからは「一発の速さは抑えても、決勝での安定感が欲しい」との嘆きの声も上がったと聞くが、それは間違いなく本音だろう。

NSX-GT勢が来る?勝つための何かをつかめていれば…

ここまで安定感があるNSX勢は勝利をもぎ取ることができるか。

同じ鈴鹿で行われた第3戦で優勝を飾ったのは、千代勝正/高星明誠組のCRAFTSPORTS MOTUL Zだった。サクセスウエイトも12kgということもあり、予選でも3番手。決勝では早々にトップに立ち、そのまま逃げ続けていた。その結果、52kgとなったこともあり、しばらくは我慢のレースが続くに違いない。

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その結果からも明らかなとおり、もともと鈴鹿とニッサン勢、そしてミシュランタイヤの相性がいいのは、大いに知られている。やはりというべきか、今回いち推しとしたいのは、松田次生/ロニー・クインタレッリ組のMOTUL AUTECH Zだ。サクセスウエイトも30kgで、十分優勝圏内。鈴鹿の戦い方、いや、勝ち方を知り尽くしたドライバーふたりだけに、可能性は極めて高そうだ。

ほぼ同じサクセスウエイトを積む、関口雄飛/中山雄一組のDENSO KOBELCO SARD GR Supraも30kgということもあって、そろそろの期待がかかる。そしてホンダ勢では山本尚貴/牧野任祐組のSTANLEY NSX-GT、野尻智紀/福住仁嶺組のARTA NSX-GT、塚越広大/松下信治組のAstemo NSX-GTには、揃ってチャンスありと予想する。この3台はいずれも、ここまで4戦すべてで入賞を果たしており、安定感は抜群。ただ、ほんのちょっとの何か、勝つための“調味料”が足りなかった印象もあり、それを手に入れられたなら、揃っての上位入賞も夢ではなさそうだ。

メルセデス勢はリベンジなるか!?

第4戦ではホイールのトラブルで悔し涙をのんだLEON PYRAMID AMG

GT300クラスで前回、今季初優勝を飾ったのは井口卓人/山内英輝組のSUBARU BRZ R&D SPORTだった。ポールポジションこそ逸したものの、大前提の最前列からスタートを切り、しっかり上位につけていたことが功を奏して、やがてトップに浮上。終盤に繰り広げた安田裕信/石川京侍組のGAINER TANAX GT-Rとの死闘は、このレースのハイライトともなった。
だが、メルセデス2台を立て続けに襲ったアクシデントがなければ、ここまで完璧な展開となったかどうか…。

まず、ポール・トゥ・ウィンもかくや、という勢いをスタートから見せていたのが、蒲生尚弥/篠原拓朗組のLEON PYRAMID AMGだった。いきなり逃げの展開に入り、順調にレースを進めていたかのように思われたものの、ホイールにトラブルが生じ、わずか18周でリタイア。さらに中盤からトップを改装した谷口信輝/片岡龍也組のグッドスマイル初音ミクAMGも、タイヤが音を上げて大きく順位を落としていた。

ことLEON PYRAMID AMGは、走り初めからほとんどセットを変更せずに済んだとされ、仕上がりとしては完璧な状態だった。トラブルは原因不明とされたが、おそらく現在は究明されて、対策も施されているはず。あのスピードを見せられたからには、今回リベンジに期待と、言わざるを得ないのではないか?

復活ムード漂うGTA-GT300車両

第4戦で勝利したSUBARU BRZ R&D SPORT

シリーズ前半戦は苦戦を強いられていたGTA-GT300車両に、復活ムードも感じられつつある。その証拠がSUBARU BRZ R&D SPORTの勝利であり、あの手この手を尽くして、ハンデを徐々に埋めてきているのでは?もし、実際にそうであるとすれば、注目したいのが吉本大樹/河野駿佑組のSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTと、吉田広樹/川合孝汰組の埼玉トヨペットGB GR Supra GTだ。

まずSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTに関しては、GT300クラスでダンロップのタイヤが決勝にすごくマッチすることが挙げられる。前回の上位はダンロップ勢、今回は彼らが恩恵を被るのでは?そして埼玉トヨペットGB GR Supra GTは前回、1周目にピットインし、事実上の2スティント作戦を採っていた。おそらく燃費的には狙いどおりの作戦だったのだろうが、実はスタート直前にエアロパーツを痛めるトラブルがあり、グリッド状では対策できずに決勝に臨まざるを得ず、結果作戦は失敗。状態が完全であれば……と、それこそリベンジの期待がかかる。

いずれにせよ、GT500クラスより燃費に優れるGT300クラスは、何か今回も「あっ!」と言わせるような作戦に討って出るチームがありそう。そのあたり、しっかり注目して欲しい。

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文:秦 直之

秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

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