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第3戦 決勝レース2のポディウム
排気量1000ccのビッグバイクによる争い「FIMスーパーバイク世界選手権」は3戦、6レースを消化。ヨーロッパ転戦の第4戦はイタリアのミサノで開催。今回は6月10日(金)〜12日(日)に第4戦のプレビューをお届けしましょう。
前戦・エストリル(ポルトガル)ではアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)、ジョナサン・レイ(カワサキ)、そして昨年の王者トプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)の三つ巴バトルが展開され、スーパーポールレースを含めてこの3人が表彰台を分け合う形となりました。
シリーズポイントで17点のリードを築いているのがアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)=161点。続くランキング2位がジョナサン・レイ(カワサキ)=144点、そして3位がトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)=109点となっています。今シーズン、この3人以外で表彰台に登ったのはアンドレア・ロカテッリ(ヤマハ)とイケル・レクオナ(ホンダ)の2人だけ。いかにバウティスタ、レイ、ラズガットリオグルの3人が突出しているかが分かりますね。
ただ、この3人の中でディフェンディング王者のトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)には勝利がまだありません。今シーズン前半戦ではポールポジションが4回あるラズガットリオグルですが、1度レイと接触した以外では2位と3位のみという表彰台の常連ではあります。しかし、今季はレースでベテランに翻弄され、競り勝つことができていないのです。
昨年までの勢いを見ても、全日本ロードレースで1−2フィニッシュを続ける様を見てもヤマハYZF−R1のポテンシャルが決して低いわけではないでしょう。ただ、熟成が進んだドゥカティ・パニガーレV4R、新型となったカワサキZX−10RRが高いポテンシャルを発揮しており、差がない状態と言えます。
あと一歩のところで勝利に辿り着けていないトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)ですが、昨年チャンピオンに上り詰めるまでの道のりを振り返ると、ここミサノでのシーズン初優勝からスーパーポールレースを含めて13勝をマークしており、今季もミサノからの立て直しに期待したいところです。
激しく競り合うバウティスタとレイ
昨年、ラズガットリオグルの1勝以外は地元イタリア出身のマイケル・ルーベン・リナルディ(ドゥカティ)が勝っています。リナルディは今季、シングルフィニッシュを続けてランキング6位につけていますが、4勝プラス全戦表彰台というアルバロ・バウティスタ(ドゥカティ)に比べると見劣りするパフォーマンスになっているのは否めません。ただ、ドゥカティは地元ですからミサノではきっと強いでしょう。次のドニントンパークはバウティスタがジョナサン・レイ(カワサキ)の地元ドニントンパークになりますから、バウティスタは17点リードをミサノで広げておきたいでしょう。
さて、そんなミサノを前に夏の鈴鹿8耐関連でいくつかのニュースがありました。まず、今年もカワサキが鈴鹿8耐にワークスチーム「Kawasaki Racing Team」として参戦することになり、ジョナサン・レイ(カワサキ)、アレックス・ロウズ(カワサキ)、そしてレオン・ハスラムというスーパーバイク世界選手権でもお馴染みの3人体制で挑むことになりました。3人ともに2回以上鈴鹿8耐の優勝経験があり、もちろんスーパーバイク世界選手権でも優勝経験があります。もう銀河系集団的な最強トリオですね。
外国人の入国が緩和され、先日、アレックス・ロウズ(カワサキ)とレオン・ハスラムが鈴鹿で8耐向けのテストを行いましたが、なんとピットクルーはスーパーバイク世界選手権のメンバーが務めます。スーパーバイク世界選手権のチームが鈴鹿8耐にやってくるということで、これは楽しみですね。
そして同じ日のテストにホンダはイケル・レクオナ(ホンダ)、シャビ・ビエルヘ(ホンダ)、さらにレオン・キャミア監督を鈴鹿に呼び寄せ、テストを行っていました。外国人の入国規制が厳しかったため、日本人トリオで挑むと噂されていたホンダですが、今季はレクオナとビエルヘがスーパーバイク世界選手権で躍進につなげているため、カワサキに対抗するためにオーディションをしたと考えられています。
昨年までグランプリライダーだったレクオナ、ビエルヘの2人は鈴鹿8耐を当然経験していないですし、スーパーバイク世界選手権のピレリタイヤとは特性が異なる日本のブリヂストンタイヤも未経験。8耐のラインナップに選ばれるかどうかは分かりませんが、過去の外国人ライダーの例を見ても多くのライダーが鈴鹿8耐で新しい経験を積むことで、スーパーバイク世界選手権での成績を向上させてきたことが多いだけに、今週末のミサノで勢いづいたホンダライダーにも大いに注目したいと思います。
一方で、ヤマハは2020年に鈴鹿8耐からのファクトリーチーム参戦を断念しており、鈴鹿8耐にはワークスとしては参戦しません。鈴鹿8耐を走りたいのはトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)も同じだと思いますが、逆に言うと身体的にもストレスがかかるヨーロッパと日本の往復をライバルたちが続けているうちに、スーパーバイク世界選手権で勝利を重ねるために集中できると言えるでしょう。ミサノからラズガットリオグルが巻き返すか注目です。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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