モリゾウ世界へ

豊田章男氏（中央）は企業のトップとしては世界で初めてFIAの審議会メンバーとなった。

弥生三月。
新聞には桜の開花予想が掲載されていました。
この時期になると春の到来でウキウキ気分になるのですが、ロシアのウクライナ侵略で気分は落ち込むばかりです。この世の中で戦争が始まってしまうなんて、理解できないですよね。ましてや、過去にもあった他国への侵攻は侵攻に至る事実があったけれど、今回のロシア（プーチン大統領）の言い分は、理解できない。

多くのスポーツでロシアと隣国のベラルーシにおけるイベントの開催中止、ロシア人アスリートの締め出しというアクションが始まっている。国際自動車連盟（FIA）のモータースポーツ委員会も国際オリンピック委員会と同調して、ウクライナへの侵略を非難してアクションを起こしている。

グローバルなモータスポーツを統括するFIAの会長に2022年からモハメッド・ベン・スラエム氏が就任しています。アラブ首長国連邦出身。これまでの会長は全てヨーロッパ出身でしたが、中近東からの選出は初。自身はラリー、ラリーレイドでドライバーとして活躍、FIA中近東ラリーにおいて14回チャンピオンを獲得、国際イベントで61勝を記録している（FIAホームページより）。
つまりバリバリのモータースポーツ経歴を有する人物が就任したというわけだ。前会長のジャン・ドッド氏もラリーのコ・ドライバーからフェラーリのF1監督という経歴を持っていた。その前のマックス・モズレー氏は、イギリスのレーシングコンストラクターMARCHエンジニアリングのメンバーだった。今回のアクションを見てもかなり行動力のある会長らしい。そして、その行動力の一つとして、FIAの最高機関である審議会、メンバー16名の新規4名にトヨタの豊田章男氏が選出された。これは驚きのビッグニュース。これまで審議委員会のメンバーはFIAに加盟している国のモータースポーツ統轄団体の役員から選出されてきたが、企業のトップに白羽の矢立ったのは世界初。その選出理由は以下のFIA発表をご覧ください。

＜トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 兼 CEO マスタードライバー 日本人 豊田章男。
豊田氏は、20年以上にわたり、生産、マーケティング、商品開発など、自動車事業のあらゆるフェーズで国内外のポストを経験し、2009年からトヨタを率いている。サーキットやラリーで活躍するモリゾウ、トヨタやレクサスの全商品を開発段階でテストするマスタードライバーとしても知られる。また、日本自動車工業会の会長として、日本の自動車産業を牽引している。自動車業界のCEOとして初めてFIA審議委員に就任＞

これからは世界のモリゾウの活躍が楽しみだ！

文：高橋 二朗