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モーター スポーツ コラム 2021年10月18日

SUPER GT第6戦プレビュー |シーズン中、最も厳しき戦いを制すのは、どのチームか?

SUPER GT by 秦 直之
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例年、シリーズ第6戦は、最も厳しい戦いとなる。第7戦はサクセスウェイトが半減され、最終戦は全車ノーウェイトになるため、ランキング上位陣は最も重たい状態で挑むレースであるからだ。しかも舞台となるのは昨年、コロナ禍で開催サーキットが限定されたことで、2年ぶりとなるオートポリス。それは非常にタフなレース展開を強いるサーキットでもある。

高低差が50mもある、アップダウンに富んだレイアウトであり、かつセクター3と呼ばれる後半の登り区間は、絶えずステアリングを切り続けなくてはならず、非常にタイヤへの攻撃性も高い。当然、サクセスウェイトを大量に積むチームには、我慢のレースを強いることとなる。

SUGOではカルソニックIMPUL GT-Rが5年ぶりの優勝果たす

第5戦のSUGOでは、サクセスウェイト16kgで臨んでいた、平峰一貴/松下信治組のカルソニックIMPUL GT-Rが優勝。軽さがまさに最大の武器となった格好だ。予選3番手からスタートを切り、星野一義監督が最も望むところの攻めの展開で、中盤からトップに立ち、最後は8秒差での逃げ切りとなった。

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そして、この勝利は実に5年ぶりだった。16年の第5戦・富士で勝ってからというもの、長いトンネルをひた走っている印象さえあった。勝てなかったばかりか、この間に上がった表彰台さえ2回しかなかったからだ。チーム全体の喜びたるや、ひとしおだったに違いない。

その一方で、ランキングトップの山本尚貴/牧野任祐組のSTANLEY NSX-GTが2位。サクセスウェイトを80kgを積んで、予選では10番手だったにも関わらず、じわりじわりと順位を上げて、まさにディフェンディングチャンピオンの貫禄を示すこととなった。

3位には塚越広大/ベルトラン・バゲッド組のAstemo NSX-GTが、そして4位には関口雄飛/坪井翔組のau TOM’S GR Supra GTが、それぞれ60kg、64kg積んでなお入り、果たしてウェイト感度の高いサーキットなのか、低いサーキットなのかと疑問さえ生じるようになっていた。

GT500クラスはDENSOとARTAの一騎討ちになる?

さて、STANLEY NSX-GTであるが、ランキングトップを死守したのは言うまでもなく、ついにウェイト上限の100kgを突破することとなった。ちなみに、昨年は第6戦が鈴鹿サーキットで行われたが、ポイントリーダーでさえ上限を超えることなく、92kgだったことを思えば、いかに効率よくポイントを奪い続けているかが分かる。

ただ、昨年の第6戦時のポイントリーダーは、チャンピオンを獲得できていない。重さが完全に足かせとなって第6戦のみならず、第7戦さえ得点できず、負のオーラーをまとったまま臨んだ最終戦はリタイアに終わっているからだ。

ただ、興味深いのは昨年、STANLEY NSX-GTもまた、第6戦ではリタイアを喫していること。ランキング4位で76kg積んで予選こそ8番手と、もとより楽な戦いではなかった。それでもなお、ラスト2戦でしっかり巻き返して王座を獲得しているのだから、落としてもいい一戦ということなのか。否、それはあるまい。もし第6戦で1ポイントでも獲得していたら、昨年の最終戦・富士であれほどまで、リスクを負った作戦に出ずとも済んでいただろう。70kg以上積んだ、上位5チームの中で1ポイントでも多く稼いだチームが、最も有利にラスト2戦を戦えると考えるべきだ。

そういった要素を踏まえつつ、今回のレースを有利に戦うのは、どのチームなのだろう? まず過去の実績からすれば、2019年に優勝を飾っている、ヘイキ・コバライネン/中山雄一組のDENSO KOBELCO SARD GR Supraは、候補として欠かすわけにはいかない。ウェイトも40kgと、十分狙える位置にある。というより、この40kgまでが優勝可能なボーダーなのではないか?

さらに前回、トップを快走しながら“不運”に泣いた、野尻智紀/福住仁嶺組のARTA NSX-GTの速さは、もはや誰もが認めるところ。32kgのウェイトならば、何事もなければぶっちぎりのレースさえ不可能ではないだろう。とはいえ、DENSO KOBELCO SARD GR Supraとの、激しいトップ争いも期待したい。

そして、ダークホースは国本雄資/宮田莉朋組のWedsSport ADVAN GR Supraと、高星明誠/佐々木大樹組のリアライズコーポレーションADVAN GT-Rだ。このところ、2台が履くヨコハマタイヤが上昇ムードにあり、大きな外しがなければ、面白い存在になりそうだ。それぞれウェイトが40kg、32kgであることも、根拠のひとつである。

GT300クラスの上位陣は、重くても速い?

前回のSUGOでは、井口卓人/山内英輝組の#61 SUBARU BRZ R&D SPORTが、三度目の正直を実現させた。それはまさに見事なポール・トゥ・ウィンだった。一発の速さは、デビュー時から備えていた新型BRZだったが、ようやく決勝での強さを身につけたからには、鬼に金棒と言いたいところだが、その一方でサクセスウェイトの上限、100kgに達してしまった。

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他にもここまでに上限に達したのは、藤波清斗/J.P.デ・オリベイラ組のリアライズ日産自動車大学校GT-Rと、三宅淳詞/堤優威組のたかのこの湯GR Supra GTの2台。昨年は第6戦に100kg積んだのは5チームで、90kgオーバーもさらに2チームあったことを思えば、今年は同じく90kgオーバーも高木真一/佐藤蓮組のARTA NSX GT3だけとあって、ポイントの分散も目立つ。

セオリー的に考えれば、この4チームは我慢のレースを覚悟の上で……と言うべきなのだろうが、前回もテクニカルコースのSUGOで重さを苦にせず、しっかり結果を残しているのだから、少なくてもチーム内の意識としては、そんなことは微塵にも思っていないだろう。

その上、オートポリスは標高800mの高地に位置することも、重要なポイントである。空気が薄いから、加給が可能なターボ車に有利な側面を持つ。上位4チームのうち、たかのこの湯GR Supra GT以外はターボ車とあって、ひょっとするとひょっとする。

さらに、このところ成りを潜めている感もあるが、平中克幸/安田裕信組のGAINER TANAX GT-Rも78kg積んではいるが、面白そうな存在となる。その点で言えば、チームメイトである星野一樹/石川京侍組のGAINER TANAX with IMPUL GT-Rは、さらに面白くしてくれそうだ。なにせ21kgしか積んでいないのだから。一線を退くこととなった星野にとって、残るレースは3戦、どこかでドラマティックな展開になりそうだが、それが今回であるのかも。

また、ターボ車ではないものの、レクサスRC F GT3の相性が、オートポリスでは最高で、2018年からチームこそ異なるものの、2年連続で優勝を飾っている。となれば、K-tunes RC F GT3の新田守男組に期待がかかる。ここまで平良響や小高一斗をパートナーに戦ってきた新田ながら、今回GT500クラスのKeePer TOM’S GR Supraにサッシャ・フェネストラズの復帰が濃厚のため、本来のパートナーである阪口晴南と走ることになりそうだ。来シーズンは本格的にGT500クラスに挑むであろう、阪口の最後のご奉公に注目したい。

文:秦 直之

秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

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