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モーター スポーツ コラム 2021年9月29日

【FIM スーパーバイク世界選手権2021 第11戦 ポルティマオ(ポルトガル):プレビュー】ラズガットリオグルが10勝目で一歩リード

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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FIM スーパーバイク世界選手権2021 第11戦 決勝レース1 ポルティマオ(ポルトガル)

ラズガットリオグルとレイのポイント差は20まで広がった

イベリア半島3連戦中の「FIMスーパーバイク世界選手権」第11戦はポルトガルのポルティマオにあるアルガルヴェサーキットで10月1日(金)〜3日(日)に開催。コロナ禍でF1、MotoGPを開催し、一気にメジャーなコースになった感があるアルガルヴェですが、スーパーバイク世界選手権では2008年からレースを開催してきたサーキット。1周4.6kmのハイスピードかつテクニカルなコースはチャンピオン争いを決定づける戦いを演出しそうです。

さて、前戦のヘレスでは「スーパーバイク世界選手権」「スーパースポーツ世界選手権」と併催の「スーパースポーツ世界選手権300」で非常に痛ましい事故が発生しました。MotoGPライダー、マーヴェリック・ビニャーレスの従兄弟でもあるディーン・ベルタ・ビニャーレスがレース中の事故で命を落としました。遺族の意向もあり、スーパーバイク世界選手権などのレースは開催続行となりましたが、スーパーポールレースが中止され、レース1、レース2を日曜日に行うことになりました。

ヘレスのレースを迎えるまで僅か1点差と接近した状態だったトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)とジョナサン・レイ(カワサキ)。悲しみの中行われたレース1、レース2ではラズガットリオグルが連勝をし、レイとの差を20点に拡大しました。

レース1ではラズガットリオグルとレイの激しいバトルが見られましたが、レース2でラズガットリオグルを脅かしたのはランキング3位のスコット・レディング(ドゥカティ)。シーズン中盤からレディングは毎ラウンド必ず表彰台に上がり続けており好調です。

一方、ランキング2位のジョナサン・レイ(カワサキ)はレース2でソフトタイヤに問題を抱えてペースが上がらずに5位フィニッシュ。1ラウンド3勝を飾った第5戦アッセン以来、なんとスーパーポールレース以外の優勝がないままここまで来てしまいました。

今季はカワサキ勢が精彩を欠いているというよりはトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)の強さが際立っている感があるレースが続いており、ヘレスはメンタル面を含めてラズガットリオグルの強さが見えたレースになりました。

さて、イベリア3連戦のラストとなるアルガルヴェ。先述のように2008年からレースを開催しているコースですが、これまでのウイナーや強いライダーは誰かを見ていきましょう。

ここは特にジョナサン・レイ(カワサキ)が得意とするコースと言えるでしょう。レイがカワサキに移籍した2015年からスーパーポールレースを含めて12レースが開催されていますが、そのうちのなんと11レースで優勝している、レイ&カワサキ無双状態のコースです。昨年も3連勝を飾るパーフェクトな戦いを見せたレイですが、カワサキ移籍後の唯一の敗北は2019年のレース2の2位だけ。このレースだけは当時ドゥカティのバウティスタに負けてしまいました。

一方でトプラク・ラズガットリオグル(ヤマハ)は最高位が昨年のレース1、スーパーポールレースの2位。今季好調なラズガットリオグルはここアルガルヴェでレイに勝てるかがチャンピオン獲得の大きな鍵になってくるでしょう。今は20点の差がついていますが、ここでレイが3連勝を飾れば、全て2位でフィニッシュしても7点差に追いつかれてしまいます。

ラズガットリオグルは「チャンピオンは意識してなくて、毎回優勝することに全力を注いでいる」と語っていますが、そろそろチャンピオン獲得の重圧がのしかかってくる頃。そんなタイミングでライバルの得意コースがやってくるわけですから、まさに正念場と言えるレースです。

今シーズンもアルガルヴェを含めて3ラウンド9レース。コロナ禍が落ち着き始めていることもあり、最終戦に設定されているインドネシアラウンドも開催の見通しがたってきたということですが、これから冬に向かうヨーロッパでは代替開催が難しくなるため、何が起こるか分からないフライアウェイ戦を前に選手権ポイントでリードを作っておくことは必須となるでしょう。いよいよチャンピオン争いはアルガルヴェで重要な局面を迎えます。

また、前回のヘレスではアルバロ・バウティスタ(ホンダ)がレース2で3位表彰台を獲得しました。ライバルたちが高くなった路面温度とのタイヤマッチングに苦しむ中、バウティスタはカタロニアのスーパーポールレースに続く2ラウンド連続の表彰台を獲得。ここに来て結果が残り始めていますが、バウティスタはすでに来季、ドゥカティに戻るという発表をしており、ホンダワークスの先行きは不透明。残り3ラウンドでホンダもバイクの改善をアピールできるか注目されます。

文:辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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