【スーパースポーツ世界選手権 第10戦 ヘレス（スペイン）：プレビュー】前戦欠場の首位エガーターは復帰

第10戦では前戦欠場の首位エガーターは復帰する

排気量600ccのスポーツバイクによる戦い「FIMスーパースポーツ世界選手権」は2021年9月24日（金）〜26日（日）にスペイン南部のヘレスサーキットで第10戦が開催されます。

前戦はMotoEとスケジュールがバッティングした影響でポイントランキング首位のドミニク・エガーター（ヤマハ）が欠場。しかし、今季9勝をマークしているエガーターにとっては2位のスティーブン・オデンダール（ヤマハ）との間にまだ45点ものギャップが開いており、余裕がありました。

しかも、前戦カタロニアではオデンダールが苦戦。表彰台にすら立てず、差を詰め切ることができなかったのはエガーターにとって幸いでした。そのエガーターはMotoEではワールドカップタイトルを撮り逃しましたが、「FIMスーパースポーツ世界選手権」には彼にとって初めてのワールドチャンピオン獲得に向けてヘレスから復帰します。エガーターのパフォーマンスに注目が集まりますね。

スーパースポーツ世界選手権ではあまり開催されたことがなかったカタロニアでのレースで、光り輝く走りを見せたのはマニュエル・ゴンザレス（ヤマハ）でした。フランスのマニクールでのセンセーショナルな優勝に続き、19 歳のスペイン人ライダーは2レースともに表彰台を獲得し、レース2では僅か0.095秒差のバトルを制して今季2勝目をマーク。ポイントリーダーのエガーター不在という状況だったとはいえ、大量ポイントを獲得し、なんとランキング3位に躍り出てきました。

とにかく安定してコンスタントにポイントを積み重ねるライダーで、さらに勝てるようになった。これはシーズン終盤戦、エガーターにとってもランキング上位を争うライダーにとっても脅威になってくるはずです。しかも、今回もスペインのヘレスサーキットということで、このままの勢いで行くと、スティーブン・オデンダール（ヤマハ）を抜いて2位に浮上する可能性も見えてきそうです。

また、前戦カタロニアはその前のマニクールのアクシデントの影響でジュール・クルーゼル（ヤマハ）らも欠場。その影響もあり、表彰台にはラファエル・デ・ロサ（カワサキ）、ニキ・トゥーリ（MVアグスタ）、そしてランディ・クルメナッハ（ヤマハ）と久しぶりの顔ぶれが並ぶことになりました。

特に2019年の「FIMスーパースポーツ世界選手権」チャンピオンであるランディ・クルメナッハ（ヤマハ）はカタロニアのレース1で久しぶりに優勝を飾ったのです。しかも、このカタロニアラウンドはシーズン途中にチームを移籍しての初陣。ルカ・ベルナルディ（ヤマハ）が5回表彰台に上がったチーム「CM Racing」と相性がぴったりあった模様です。

2019年にチャンピオンを獲得した年にクルメナッハはヘレスで2位表彰台を獲得しており、コースとの相性は悪くなさそう。シーズン中盤まではなかなかレースの主導権を握ることはできませんでしたが、エガーターとのスイス人ライダー対決も期待したいところです。

マニクールで負傷し、前戦カタロニアを欠場したジュール・クルーゼル（ヤマハ）は今回も出場は難しい模様。シーズン序盤とは勢力図が変わり、また新たなメンバーが表彰台に上がる可能性も出てきます。復帰のエガーターが獲得ポイントのマージンを伸ばすのか、それとも他の伏兵が新たなウイナーに名乗り出るのか、面白いレースになることを期待しましょう。

文：辻野ヒロシ