【スーパーバイク世界選手権 第10戦 ヘレス(スペイン)：プレビュー】チャンピオン争いにドゥカティも名乗り？

シリーズポイント首位のトプラク・ラズガットリオグル（ヤマハ）

激しいチャンピオン争いが続く「FIMスーパーバイク世界選手権」は3週連続のイベリア半島連戦。第10戦はスペイン南部のヘレスサーキットで9月24日（金）〜26日（日）に開催されます。

王者ジョナサン・レイ（カワサキ）と若き才能トプラク・ラズガットリオグル（ヤマハ）のチャンピオン争いが熾烈です。前戦カタロニアのレース1ではウェットコンディションの中、ポイントリーダーのラズガットリオグルとレイが激しく争いますが、なんとラズガットリオグルにマシントラブルが発生してリタイアになってしまいます。

雨の中、伏兵としてトップ争いを展開したのはドゥカティに乗るプライベーターのアクセル・バサーニ（ドゥカティ）、そしてレース終盤にはワークスライダーのスコット・レディング（ドゥカティ）がバサーニをかわして6勝目を飾ったのです。このレースでは2位にアクセル・バサーニ（ドゥカティ）、3位には久しぶりの表彰台となったマイケル・ルーベン・リナルディ（ドゥカティ）と終わってみればドゥカティの表彰台独占でした。

スーパーポールレースでは痛恨のノーポイントレースに終わったトプラク・ラズガットリオグル（ヤマハ）とレース1を4位でフィニッシュしたジョナサン・レイ（カワサキ）が対決。超スプリントレースをレイが制しました。

そしてレース2は序盤にアクシデントが発生し、再開されたレースでリードを奪ったのはマイケル・ルーベン・リナルディ（ドゥカティ）。レース1の3位に続き、ドライコンディションでも速さを見せたドゥカティ・パニガーレV4Rに乗るリナルディが今季3勝目をマークしました。

トプラク・ラズガットリオグル（ヤマハ）はスプリントレースに続く2位表彰台を獲得。ジョナサン・レイ（カワサキ）がレース2では6位に留まったことによりシリーズポイントはラズガットリオグルが僅かに1点だけリードすることになりました。

これから始まるヘレス、アルガルヴェもランキング首位を争う2人のシーソーゲームは続いていきそうですね。そんな中で、ウェットコンディションでもドライでも速さを見せたドゥカティ勢には注目。特にランキング3位につけるスコット・レディング（ドゥカティ）は首位のラズガットリオグルから60点も離されているものの、ヘレスサーキットでは昨年も優勝を飾っていますし、Moto2時代には2位表彰台を経験しているコースだけに、チャンピオン争いに割って入ってくる可能性がありますね。

ほとんどのライダーが走行経験を持つヘレスですが、実はそんな中でもジョナサン・レイ（カワサキ）にとっては珍しく勝ち星の少ないサーキットです。昨年もスーパーポールで1勝したのみですし、6年の連覇街道で、ヘレスで2勝以上したのは2017年だけ。相性が良くないサーキットのレースをどうまとめてくるか、ベテランの腕の見せどころです。

そしてランキング首位のトプラク・ラズガットリオグル（ヤマハ）はというと、まだヘレスでの優勝経験はなし。ただ、昨年もレース1、レース2と3位表彰台に上がっています。前戦カタロニアでは不運なトラブルに見舞われましたが、失ったポイントを取り返す力強いレースができるか注目です。

そして、日本期待の野左根航汰（ヤマハ）はカタロニアのレース2で開幕戦以来となるトップ10フィニッシュを果たしました。ヘレスはシーズン前にテストで走っているので、少しずつ掴み始めた手応えをぜひシングルフィニッシュに繋げて欲しいものですね。

文：辻野ヒロシ