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モーター スポーツ コラム 2021年9月15日

これぞ舞台裏

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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7号車が悲願の優勝を果たした今シーズンのル・マン24時間レース。

たった一つのスイッチの操作で思いもよらぬアクシデントが発生した。

映画アポロ13号のハイライト。この映画をご覧になったことがありますか。1995年に公開されたロン・ハワード監督のアメリカ映画です。劇場でも観覧しました。そして、DVDを購入して何度も見ています。
ロン・ハワード監督は、モータースポーツ、ニキ・ラウダとジェームス・ハントの伝説的チャンピオン争い、1976年のF1GPを題材にした映画<RUSH>も監督していますね。

さて、アメリカのアポロ宇宙計画は、11号で初の月面着陸を成功させて、12号、13号に進み、13号も月面着陸をする予定だったが、液体酸素を攪拌するスイッチを入れた途端起きた小さな部品のショートで爆発が起こってしまい、酸素が漏れ始め、電力も低下し、月面着陸を諦め、それどころか地球への帰還も危ぶまれる事態になった。

宇宙船に乗り組んだ3名の宇宙飛行士、そして地球で宇宙飛行を見守るスタッフが共同してこの難関を乗り切って、見事帰還を成功させた。これは、実際に起こった事故のドキュメンタリー映画と言って良いと思う。酸素の不足、電力低下、二酸化炭素の上昇、大気圏への再突入などなど、次から次へと難題が降りかかる。それを一つ一つ解決、処理して、地球に帰還。

昨日、【2021 ル・マン24時間レースの舞台裏】の収録を行いました。
ゲストは念願、悲願のル・マン初優勝を達成した小林可夢偉選手と2位の中嶋一貴選手。

番組では知られざるル・マンの舞台裏を解き明かしていく。

今シーズンからWECは新たな歴史のページを加えましたね。そう、トップクラスがLMP1からハイパークラスになった。そして、トヨタがル・マン24時間レースを1-2フィニッシュ。これまで何度も勝利の女神に見放されてしまってきた可夢偉選手が優勝。コロナ禍で現地取材は、昨年に引き続いてできなかった。日本からは磐石のように見えたTOYOTA GAZOO Racingの2台。

しかし、その24時間の戦いには、あのアポロ13号の映画のような緊急事態をチームの総力で乗り切って、優勝、1-2フィニッシュを成し遂げたというドラマが展開されていた。ドライバー二人のコメントで初めて知ったアクシデントとその経過、対処を知ることができたのです。

今回の番組は正に【舞台裏】です。絶対に、絶対にご覧いただきたい。モータースポーツの過酷さ。そしてドライバーの能力の高さ。そしてドライバーを支えるチーム、スタッフの総合力。改めて、モータースポーツは人間の叡智を集結して勝利を目指す最高のスポーツであることを確認させてもらいました。

Don’t miss it!

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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