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モーター スポーツ コラム 2021年9月6日

2021年WRC第9戦アクロポリスラリー“久しぶりに戻ってきた悪路の祭典”

Mr.フクイのものしり長者 de WRC ! by 福井 敏雄
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悪路が名物のアクロポリスは2013年以来の開催のとなる。

サファリと共にもうひとつの名物ラリーがWRCに戻ってきました。

2013年を最後にWRCから脱落していたこの名門ラリーは1953年創設、1973年の世界選手権発足当初からのメンバーで70年代にはSS50本、SS距離850キロもある大ラリーでした。2013以降はヨーロッパシリーズとして開催されていましたが、今回のコロナ禍によるカレンダー調整でWRC再開のチャンスをつかみました。

アクロポリス全盛の頃はコリン・マクレーが5回優勝し、その他W.ロール、ワルデガルド、ヴァタネン、ビアシオン、カンクネン、サインツなどレジェンド・ドライバーの名前が優勝者リストに上がっています。休みが長かった為に現役ドライバーの中でアクロポリス経験者が少なく、その上時代も変わっているのでこの時代で超悪路が保たれていることはないでしょう。

一言でいえば“悪路、高温、息もつけないほどの埃道でクルマにもタイヤにもドライバーにも過酷なラリー”ということになります。

ターザン(Tarzan)と言う面白い名前のSSがありますが、これは伝説的な人物のあだ名だそうで私もこのコースに昔行ったことがあります。SS出走順は大いに影響しますが後発の車も前走車が痛めた路面の影響を受けるので要注意です。平均速度はそれ程高くなくカーブが多いためエンジンの冷却不足によるパワーダウンも予想されます。

私は現役時代に何度もアクロポリスを経験しましたが、トヨタにとってあまり得意でなかったラリーの一つです。度重なるボディーの亀裂を溶接でつなぎながらやっと続行したり、出場した3台が同じ場所でコースオフしたり、ヘリコプターで選手を病院に運び込んだりなど事件が続出した思い出ばかりでした。

一方でサインツがWRC初優勝したのも1990年のアクロポリスでした。30年のタイムスリップをした今、新生トヨタがどのような勝負をしてくれるか注目したいと思います。競技の構成は下記の通りとなっています。

・金曜日はアテネ中心部を出発し5本のSSをこなしながらサービスパークがあるラミアへ。この日はタイアポイントのみで中間サービス無し。
・土曜日はSS6本、132.56キロ走行。中間サービス有り。
・日曜日はSS3本、69.25キロ、中間サービス無し。

  SS本数   SS km  Liaison km  Total km
L-1(9/9-10) 6 90.38 km 397.99 km 488.37 km
L-2(9/11) 6 132.56 km 317.82 km 450.38 km
L-3(9/12) 3 69.25 km 277.85 km 347.10 km
Total 15 292.19 km 993.66 km 1285.85 km

スプリント走行に慣れた近代的ラリードライバー達にとって車両やタイヤへのダメージ続出の可能性があり、中間サービスが無いレグ1、レグ3を賢くこなすことが重要です。

文:福井敏雄

福井 敏雄

福井 敏雄

1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。

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