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スーパースポーツ世界選手権 第7戦 ナバラ
600ccのスポーツバイクによる戦い「FIMスーパースポーツ世界選手権」はいよいよ前半戦ラストとなる第7戦を迎えます。2021年8月20日(金)〜21日(日)はスペイン北部のナバラサーキットが舞台。スーパースポーツ世界選手権としては初開催のサーキットになります。
前戦のチェコ、モストサーキットも初開催でしたので2戦連続の初コースということになりますが、ナバラでのレースを経験したライダーは決して多くはないと思います。
ただ、スーパースポーツ世界選手権にはスペイン人ライダーも参戦しているので、彼らは走行経験がライバルに比べて多い可能性があります。昨年までスペイン選手権に参戦していたマーク・アルコバ(ヤマハ)、そして前戦モストで目覚ましい活躍を見せたマニュエル・ゴンザレス(ヤマハ)らスペイン人ライダー達が有利にレースを進めていく可能性があります。
特にマニュエル・ゴンザレス(ヤマハ)は初開催のモストでポールポジション、初の表彰台獲得と今季ベストのウィークエンドを過ごした後だということで、勢いに乗っています。ゴンザレスは首都マドリード出身の19歳で、昨年スーパースポーツ世界選手権にデビュー。初年度ながら最高位6位を含むシングルフィッシュを連発し、ランキング7位を獲得していました。
今季もゴンザレスは好調で、エストリルとミサノで4位入賞。待望の表彰台を初挑戦のライダーが多かったチェコ・モストサーキットで掴み取ったのです。優勝は逃しましたが、スーパースポーツ世界選手権の史上最年少ポールポジションという記録も打ち立て、一気に躍進してきました。
注目株に成長したマニュエル・ゴンザレス(ヤマハ)は過去にスペイン選手権時代にナバラで優勝した経験があり、公式インタビューで「ここは僕の大好きなコース。スペイン選手権時代に3回優勝しています。モストのようにバイクのペースが良く、優勝を争えるチャンスに恵まれるといいですね」と語っています。初優勝があるかもしれませんね。
さて、ナバラが終わると前半戦が終了ということになりますが、今季はドミニク・エガーター(ヤマハ)、そしてスティーブン・オデンダール(ヤマハ)の一騎討ちとなっています。第5戦チェコ・モストサーキットは多くのライダーにとって初体験のコースとなりましたが、そんな中で優勝を分け合ったのがこの2人で、レース1ではオデンダールが優勝、レース2ではエガーターが優勝を飾りました。これで勝利数はエガーターが6勝、オデンダールが4勝。この2人しか優勝できていないということになります。
ランキング首位はドミニク・エガーター(ヤマハ)=207点、そしてランキング2位はスティーブン・オデンダール(ヤマハ)=170点と両者には依然37点の差があり、モストでオデンダールが7点詰めてきました。
エガーターもオデンダールも中排気量レーサーマシンのMoto2で長く活躍したライダーで、その当時から同じコース上にいたライバル。ただ、Moto2で優勝経験があるエガーターに対して、オデンダールは13位がMoto2の最高位。このリザルトから察するに2人の間には格の違いがあるのは事実です。
しかし、スーパースポーツ世界選手権は600ccの市販スポーツバイクをベースにしたマシンで争うレースで、マシンは両者ともにヤマハYZF−R6。基本的に使っているバイクは同じですからまさにガチンコ勝負をしていることになります。
開幕から3連勝したものの、その後はエガーターに勝利を奪われ続けてきたオデンダール。エガーターの連勝を5回でストップさせることに成功しました。そんなレースを振り返り、オデンダールは「赤旗で終わったのは残念だったけど、久しぶりの優勝はハッピー。チャンピオンシップよりもレースで勝つことだけを考えていたからね」と語りました。
ポイント差を詰めることができ、シーズン半ばということで、まだまだエガーターとのチャンピオン争いも大逆転の可能性があるオデンダール。今回のナバラでの活躍がそのカギとなりそうですが、実は彼は2015年〜17年の3年間は世界選手権Moto2を離れて、スペイン選手権のMoto2に参戦。2016年にはチャンピオンも獲得していますが、ナバラは2015年にレース経験があります。走り慣れたスペインでのレースでオデンダールが大逆転の狼煙を上げるのでしょうか。
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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