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悲願のスーパーフォーミュラ初優勝をはたした福住仁嶺。
何ですかっ!男のくせにっ!
ボクの母は厳しかったです。メソメソしているとよく言われました。
そう、男は人前で涙を流すことは許されなかった、時代でした。と、言っても60年前くらいの話ですよ。
そんなボクが、2年前にルマン24レースの優勝インタビュー中継中に不覚にも涙を流してしまいました。堪えきれなかったのです。すでに母は他界していたので、怒られませんでしたが、フランス現地の中継を司ってくれていたスタッフのおばちゃんが「何やっているのっ!勝ったKAZUKIとyou、二人でなぜ泣かなきゃいけないの?世界で最初にKAZUKIのインタビューをセットしたのに、プンプンッ」とほっぺを膨らませた。男は、メソメソじゃなくても涙をながすのです。
先週末のスーパーフォーミュラ 第4戦で男が何人も人前で泣きました。
<男は人前で涙を>・・・・なんてことは言いません。流した涙は決して甘くない、それは苦い味がしたはず。苦しい思いを続けた末に勝ち得たポールポジション。辛かったのでしょうね。そんな素振りを見せなかった関口雄飛選手。3年ぶりのポールポジションおめでとう。
スーパーフォーミュラで3年ぶりにPPを獲得した関口雄飛。
そしてもう一人。参戦4シーズン目。23戦目で掴んだ勝利。今年の第2戦では圧倒的な速さを示して勝利に突き進んでいたのにタイヤトラブルでリタイヤしてしまった。SUPER GTでもペナルティーによって勝利が消えた。勝利を待望していた。5番手から序盤で一気に2位まで上がり、皆がピットインを済ませるとトップに立った。これまで勝てそうで勝てなかった。そんな経験を経て得た栄光。そこで流した涙はやはり甘くはなかったのだろうと思います。そして、インタビューの最後、この勝利を誰に一番伝えたいかとの問いに、2月に結婚した奥さんにと・・・。「帰って、ただいまって」。おめでとう福住仁嶺選手。奥さんと魚料理でも楽しんでください。ハイ、ごちそうさま。
最近、若手ドライバーたちの台頭を強く感じます。こんな表現していること自体が時代錯誤なのかもしれませんね。走り方、作戦、そしてコメントは前とは全然違うなと、毎回驚きというか、楽しみに感じるようになって来ました、ハイ。
ご視聴していただいた方々。ご存知ですよね。予選の中継でもう一人涙した男が居ました。
関口選手のインタビューが終わり、MCのピエール北川氏からコメントを振られたのに、言葉が出てこない。あと数秒沈黙が続いたら放送事故に発展したのではないかと、ピットのおっさんは気を揉んでしまいました。関口選手の苦しかった時期を知る解説者は、自分の現役時代とシンクロさせてしまったのでしょう。涙腺が緩んでますよ土屋武士コメンテーター。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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