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モータースポーツのスポーツ性を体験するにはうってつけのゴーカート
朝刊のスポーツ面にボクシングWBAミドル級スーパーチャンピオンの村田諒太選手が【見習い日記】というエッセイを寄せていました。その題は「エンタメとの境界線」です。プロボクシングが抱えるスポーツとエンタテイメントの間で村田選手が考えるボクシングのスポーツ性についてボクシング界のトップに立つ人々への意見とお願いも込めている内容でした。
ボクもこの4月の小欄(#573 がんばれスポーツ庁)でモータースポーツのスポーツ性が管轄省庁にはスポーツとは認識されていないということを書きました。外国国籍のプロドライバーがこのコロナ禍でスポーツ選手と扱われずに入国の許可が出ないこと、そして自主隔離期間(二週間)の緩和対象にならないことを書きました。現在、日本自動車連盟をトップとするモータースポーツ界は、スポーツ庁に対して検疫強化等の緩和・特例処置の適用の検討をお願いすると同時に、日本自動車工業会にも同適用検討の賛同を呼びかける準備を進めてくれています。
さて、村田選手のエッセイは今モータースポーツが抱えているコロナ禍に関することでは無いのですが、ボクシングがエンタテイメントとして認知されてスポーツ性が薄れて、異種格闘技とのイベント、エキシビションマッチなどでエンタテイメントビジネスがお金を生み出し、それによって本来のボクシングのアイデンティティが失われてしまうと危惧しているのです。彼の文章の中で「ボクシングはエンタテイメントでありながらも、やはり命の危険があるスポーツであり・・・」とありました。それは、まさしくモータースポーツに当てはまることであると頷きました。ボクシングはオリンピック競技である点では、モータースポーツよりもスポーツであるという認識は一般の方々と管轄の省庁の官僚の皆さんにもあると思います。それに対してモータースポーツは官僚には理解されていないが、従事している関係者は、誰よりもそのスポーツ性を強く認識しています。
スピード出して走り回って危ない!相手を殴って倒すなんて!
二つのスポーツ性を認めない人たちからのコメントに対して、<一回やってみましょうよ>とお誘いしたいです。ボクシングは、殴られると痛いから、モータースポーツをどうぞ。ゴーカートに乗ってみませんか。乗っていただいた方は絶対にゴーカートで走った途端に人間の本能に訴える何かを感じていただけて、ムクムクと湧き上がるものが絶対にあると信じます。そうだ、モータースポーツを「興行でしょ」と言った官僚の皆さんに対してゴーカートの試乗会を実施しましょう。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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