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昨年末プレシーズンテストに臨んだニック・キャシディ
電気自動車レース「フォーミュラE」のシーズン7(2020年〜2021年)が2021年2月26日(金)〜27日(土)に中東サウジアラビアのディルイーヤで開幕。今季からF1やWRCと同じ「世界選手権」の自動車レースに昇格するフォーミュラEをJ SPORTSでは今シーズンも生中継を中心に全戦を放送するほか、J SPORTSオンデマンドでのLIVE配信が実現しました。コロナ禍の中、まだ全てのレーススケジュールが確定していない状況ですが、フォーミュラEはとりあえず中東のサウジアラビアで開幕することになります。
さて、初心者の方向けには「フォーミュラE基礎講座」という別記事に簡単なフォーミュラEの解説を書いていますので、ぜひ読んでいただければと思いますが、今年のフォーミュラEの大きなトピックスはやはり「世界選手権」シリーズになるということでしょう。
とはいっても、内容は昨年までの「FIA選手権」と極端に変わるわけではありません。本来は第三世代となる進化版マシンが世界選手権化するタイミングで登場予定だったのですが、コロナ禍で先行き不透明な状態でメーカーやチームに負担を強いれないことから、来季に見送りとなりました。ということで、今季は昨年の現状維持の状態でステータスが世界選手権に昇格するというわけです。
それにしても昨シーズン(2019年〜20年)はシーズン中にコロナショックが起き、都市型レースで世界を転戦するフォーミュラEは大打撃を受け、シーズン途中での中断を余儀なくされました。最終的にはクローズド開催が可能なベルリンのテンペルホーフ空港で6レースを開催し、何とかシリーズを成立させることになりましたが、ちょっと煮え切らないシーズンになってしまいましたね。
そんなイレギュラーな事が起こったシーズンでチャンピオンに輝いたのはアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DS・テチータ)。コロナショックによる中断前の第5戦マラケシュで優勝し、ベルリンでは第6戦、第7戦と合計3連勝を飾り、11戦中6戦で表彰台に登る安定感が功を奏し、見事初のチャンピオンに輝いたのです。まさにシーズンの流れを掴んだという感じですね。
ダ・コスタはポルトガル出身のドライバーで、2012年のF3マカオGPで優勝するなど実績を残し、F1まで登りつめてもなんら不思議ではない実力の持ち主でした。しかし、多額のコストが必要なF1直系のGP2(現在のFIA F2)に進むことはできず、BMWのドライバーとしてDTM(ドイツツーリングカー選手権)などにチャレンジしました。
フォーミュラEには2014年〜15年のシーズン1に鈴木亜久里率いる「アムリン・アグリ」から参戦。1年目から優勝を飾りました。そこから3シーズンほど低迷するのですが、シーズン5(2018年〜19年)の開幕戦ディルイーヤではアンドレッティ・オートスポーツと組んで参戦した「BMW」に初優勝をプレゼント。元々、市街地コースに強く、速さには定評があったダ・コスタはチャンピオンチーム「DS・テチータ」からのオファーを受けることになりました。
チームメイトは元F1ドライバーでシーズン5、6と連覇した王者、ジャン−エリック・ベルニュ(DS・テチータ)。優勝ドライバーが毎回入れ替わる大混戦のフォーミュラEで3勝以上飾ってチャンピオンを獲ってきた最強ドライバーですから、ダ・コスタはエースがすでにいるチームに入り込んだことになります。そして、ダ・コスタはベルニュを上回ったんですから凄いですね。
今季も「DS・テチータ」はダ・コスタとベルニュのタッグを維持。チームランキングの3連覇を狙っていく大本命と言えるでしょう。中国国籍のチームではありますが、プジョー・シトロエングループのブランド「DS」のワークス体制で今やフォーミュラEの主導権を握る巨人になりつつあります。
そのライバルとなりそうなのが、昨シーズンから本格参戦をしてきた「メルセデス」とシーズン5から参戦の「ポルシェ」というドイツの2大ブランドです。メルセデスはF1で、ポルシェはル・マン24時間レースで大きな成功を収めてきたブランドですが、今や次世代モータースポーツの覇権を握ろうとフォーミュラEに本腰を入れています。
シーズン6(2019−20)の最終戦でストフェル・バンドーン(メルセデス)が優勝を飾り、メルセデスとしては参戦初年度ながらいきなりヴァンドーンがシリーズランキング2位を獲得。その最終戦ではニック・デ・フリース(メルセデス)も2位表彰台を獲得し、1−2フィニッシュとなり、チームランキングは3位を獲得したのです。F1のように明らかなアドバンテージはないものの、様々な最適解を見い出し、上位に食い込んでくるのはさすが巨人メルセデス。バンドーンとデ・ブリースのコンビ継続でF1と合わせてダブルでワールドチャンピオンを狙います。
そしてポルシェは日本でもお馴染みのアンドレ・ロッテラー(ポルシェ)に加えて、新たなチームメイトとしてパスカル・ウェーレイン(ポルシェ)がマヒンドラから移籍しました。ウェーレインはご存知元F1ドライバー。メルセデスF1の秘蔵っ子として育てられましたが、トップチームでのレースは叶わず、フォーミュラEでワールドタイトルを狙います。ベテランのニール・ジャニとの交代になったわけですが、26歳という若手の部類に入るウェーレインの加入で戦力はアップしたと考えた方が良いでしょうね。
今季はメルセデス、ポルシェがチャンピオンに近そうと予想していますが、同じドイツのアウディ、BMWは残念ながら今季限りでのフォーミュラEからの撤退を表明。世界選手権として最初のシーズンが何と最後のシーズンになってしまいます。
そんな中、日本のファンが期待したいのはやはり「日産」の活躍でしょう。NISSAN e.damsとしてオリヴァー・ロウランド(日産)、セバスチャン・ブエミ(日産)のコンビで参戦し、昨年はチームランキング2位を獲得。車両規則の変更で不利になると言われたシーズンでも後半に盛り返してきました。実働部隊はヨーロッパにある「日産」ですが、世界チャンピオンの称号を得たのは2011年の「FIA GT1世界選手権」が最後かと思いますので、10年ぶりの世界選手権王者を目指して欲しいですね。
そして個人的にも期待しているのが、日本でもお馴染みのニック・キャシディ(ヴァージン)のフォーミュラEデビューです。スーパーフォーミュラ/SUPER GTでチャンピオンを獲得した、まさに日本のレースが育てたニュージランド人ドライバー、キャシディ。所属チームは「ヴァージン」で、プライベートチームではありますが、マシンはアウディと同じものを使うので戦闘力は十分。去年のチームランキングは4位ですから、ポルシェやBMW、そして本家アウディよりも上位に食い込んだわけです。メルセデスのヴァンドーン、ポルシェのロッテラー、現在はインディカードライバーのフェリックス・ローゼンクビストなど日本で実績を残したドライバーはフォーミュラEでも活躍できるというのが定説。日本のファンはキャシディを応援対象にして、レースを見てみてはいかがでしょうか?
文:辻野ヒロシ
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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