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モーター スポーツ コラム 2021年1月21日

デジタル、デジタル

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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データの活用・分析はコンマ数秒を競うモータースポーツの世界ではチームの生命線。

お寒うございます。
暦で【大寒】にこの小欄を書いています。

最近は、デジタル、デジタル。外出しなくとも会議ができたり、取材に行かなくとも現場の映像を見られたり、便利になりました。その便利さは十分に享受させていただいていますが、その100%を使わせていただいているかというと、そうではありません。多分30%未満。

携帯電話がガラ携からスマホになって、画像も映像も手軽に撮ることができて、それを持ち歩けるというか、<雲>のどこかに貯めておいて、引き出して説明したり自慢したり。この書き方で、どれだけボクがデジタルに弱いかがお分かりでしょう。

さて、レースの世界、近年では、クルマの状態をデーターロガーによってチェック分析しているのは当たり前。そして現場の取材でドライバーの元へ行くと、さっき走った自分の走行データとオンボード映像を見ていることが多い。時代ですね。昭和は遠くになりにけり。写真だって、かつてはフィルム。現在のように撮影した直後に画像を確認することなどできなかった。初めてルマン24時間レースを取材した時に同行したHカメラマンは、その取材でなんと約400本のフィルムを撮影した。1本36カット撮影できるから、14,400カット。Hカメラマンは、撮影後に「フィルムの現像代を考えると気が滅入る」と言っていたのを思い出した。

スマホだけではない、映像を撮影するための便利なガジェットがありますよね。当然、ボクは使ったことはありません。サーキットのスポーツ走行などに参加するドライバーさんたちがご自身の走行をオンボードで撮影して楽しんでいますね。

昭和の時代、オンボードで画像、映像を撮影しようと思ったらとても大掛かりなことになった。伝説的なモータースポーツ映画【栄光のルマン】(邦題)のレースシーンでは、レーシングカーの前後にカメラを搭載してその車両を正式エントリーさせて、当時としては大迫力の映像を撮影した。当然フィルムで撮影。

われわれも、とてもアナログ的に迫力ある画像を撮るべく頑張りました。1980年代のダートトライアル別冊の編集会議で目玉企画のオンボード画像掲載を決定。モンスター田嶋こと田嶋伸博選手がドライブするPA10の迫力ある画像を撮ることになった。手持ちの機材と人員。さてどうする?結論は、生身のカメラマンをPA10のロールバーに縛り付けて撮影。少年時代からロープ結びが得意なボクがHカメラマンを真心こめてロールバーに縛り付けてあげました。1周目が終わり、用心のためにもう1周走ってもらいました。そして、「もう1周行ってみる?」と聞くとHカメラマンが「ざけんなっ!殺す気か!」と怒ったのを今でも忘れません。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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