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KeePer TOM'S GR Supra
TGR TEAM KeePer TOM’S37号車のピットで見守っていました。
RAYBRIG NSX-GT100号車が猛然と追って来たSUPER GTの最終戦の最終盤。ピットは緊張感に包まれて全スタッフがテレビのモニターに見入っていた。チーフエンジニアがGR Supraのエンジン製作とメインテナンスを司るトヨタレーシングデベロップメント(TRD)のスタッフに視線を送ると、そのスタッフがサムアップを返した。ピットウォールのエンジニアと監督に情報が飛ぶ。迫って来た100号車に対応して、エンジン制御スイッチでマックスパワーまで上げるように指示が飛ぶ。その前の時点で燃料残量が少ない警告が表示されていたが、ゴールラインを切ることに問題は無いと自信を持っていた。
最大16秒あったギャップは、2秒まで縮まっていた。そして残り3周で再び2.4秒、2周前には2.7秒まで広がった。安堵が少しだけピットに漂った。最終周の最終コーナーを37号車が立ち上がった、と直後に失速。
残り約500Mの歓喜と悲劇。間違いなく日本のモータースポーツ史に残る1戦となった。
SUPER GT史上空前の僅差チャンピオン争いで幕を開けた最終戦の富士。そして結末は日本のモータースポーツ界の歴史に刻まれる大逆転劇で幕を閉じた。37号車は、2位でゴールを切ったものの、ストレートのグリーン上で力なくストップ。逆転優勝した100号車もウイニングラップで燃料が足りずにストップという両方のマシンが力の限りを尽くして雌雄を決した最終戦。
メディアの一部が、今回はセイフティカーが導入されずスロー走行がなかったことによりガソリンが足りなくなったのではとコメントしていたが、仮定のセイフティカー導入分までも給油量を少なくしていることなど絶対ない。レース後に37号車の監督は、われわれは、ゴール後にもタンクに燃料が残っている計算で給油していると答えてくれた。
ゴールまで約500メーター。
何かが誤作動していたのか。何か想定できなかったことが起こっていたのか。レース後、TRDのモーターホームは夜遅くまで明かりがついていた。
3年連続ランキング2位でシーズンを終えた37号車の平川 亮選手、直後のTwitterで【みんなで喜びたかった。みんなで笑いたかった】そして、【ライバルがいるから速くなれる。強くなれる。山本選手、牧野選手、ホンダの皆さんおめでとうございます】と綴っていた。
2020年シーズン ドライバーズランキング2位となった平川亮。
平川選手は、正にグッドルーザーだったのでしょう。
どっかの選挙でグチグチ言っている奴に爪の垢を煎じてバケツで飲ませてやりたい。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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