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モーター スポーツ コラム 2020年10月29日

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今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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一文字違うと大違い。これまでに何度となく「ポールtoウィン」という表現を使ってレースリポートを書いてきました。しかし、今回の「テールtoウィン」は、初めての表現。予選で大クラッシュしてしまって、GT500クラスの最後尾グリッドからスタートしたMOTUL AUTECH GT-R 23号車が奇跡の大逆転劇で優勝を飾ったのです。この一戦で勝たなければ、チャンピオン争いの蚊帳の外に追いやられてしまうNISMOの同チームは、背水の陣で臨んだ第6戦。予選のQ1が7分過ぎた時にダンロップカーブを駆け上がった23号車は、アウト側にはみ出てしまって、グラベルベッドで数度ジャンプしてクラッシュパッドに突っ込んだ。ドライバーの松田次生選手に外傷は無かったけれど、激しくジャンプした際に背中を痛めてしまった。クルマはフロント部分を大破。エンジンにダメージは及んでいなかったが、それ以外は全て交換。

そして、クラスグリッドの最後尾からスタートして、R.クインタレッリ選手が鬼神の追い上げを見せた。10周を過ぎて、12番手へ。この流れではトップ10に入るのがやっとかなと誰もが思っていた。そかし、勝利の女神がイタリアンドライバーに微笑んだ。GT300クラスのマシンがピットアウトした周にS字でクラッシュ、ストップした。セイフティカー(SC)が導入される気配を感じてピットからクインタレッリ選手にピットインの無線が飛ぶ。ちょうど130Rを走行していた時のことだったので、シケインの手前で聞き直して、ピットロードの入り口までに間に合ってピットイン。その後にやはりSCが導入された。

これで23号車は、コース上で前にいたクルマ達を一気に抜き去ることができた。奇跡的な大逆転。
もし判断が数十秒遅れていたら、そして23号車がコースの後半、130R辺りを走行していなかったら、この大逆転劇は、起こらなかった。この勝利で一気にランキング3位タイとなり、残り2戦のチャンピオン争いに名乗りを上げることができた。これで、今シーズンのチャンピオン争いが一気に面白みを増してきた。

ニッサン勢による1-2は、2015年の第7戦SUGO以来。奇しくもその組み合わせは同じ。1位はMOTUL AUTECH GT-R(松田 次生、ロニー・クインタレッリ)、2位はカルソニック IMPUL GT-R(安田 裕信、J.P.デ・オリベイラ)だった。

大逆転劇は、第6戦の大団円としては、素晴らしいプロットであったと思う。そかし、敢えて苦言を申し上げたい。昨年の第5戦富士でもSC導入の直前のタイミングにピットインして優勝したのが6号車。それがチャンピオンへの大きな足掛かりとなった。このSC導入直前にピットインできるかどうか(ドライバーの最低義務周回数をクリアーしていて)が勝敗に大きく影響する。これはラッキーか、そうではないか。つまり運があるか、ないかである。

現在、GTAでは、コース上でアクシデントが起きた場合に全車に80Km/h走行の指示を出すフルコースイエロー=FCYのシステム導入を進めている。これが完全な改善策ではないかもしれないが、現行のSCよりも偶然性を少なくするのではないだろうか。

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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